今日も今日とて鬼ごっこ(静臨)

*鬼ごっこ(静←臨)



あはは本当に馬鹿だなあシズちゃんは。
救いようがないくらい馬鹿で単細胞で酷く憎らしい。
背中ごしに聞こえる君の声を聞きながら俺は呟く。多分誰にも聞こえてはいないだろう。聞こえてたとしても誰も信じたりはしない。
それでいい。自分でもいまだに信じられないし。

「シズちゃん、君が好きだよ」

困ったことに人間として好きなわけではなく(そもそもこの男は人外だ!)、その、恋愛的な意味として俺はシズちゃんのことが好きらしいのだ。
頭でも打ったんじゃねえの俺。
数ヶ月前の俺ならシズちゃんに恋とか脳みそ沸いてんじゃないとか鼻で笑えていたはずなのに。
本当にもうなにこれ。ないよね、本当にないってこんなの。自動販売機が飛んで、シズちゃんが叫んだ。ああああもううるさいなあ!
嫌いなんだ君なんて嫌いなんだ。君は俺を嫌いで俺は君を嫌っていたはずなのに。
「いいいいざあああやああああああああああああ!」
……名前を呼ばれて喜ぶなんて俺は乙女か!
しかし高鳴る胸の鼓動はおさまる気配がない。どんな状況でもいいのか俺。
あ、シズちゃんならなんでもいいや。
それはそれでへこむなあと思いながらとりあえず走り続けた。
なにより死因が自販機なのもキュン死になのもいやだったからです。というかキュン死にってなんだそれ。馬鹿すぎて泣くに泣けないし。

「それだけは本当に遠慮したいなあ」

そんな一言も誰に届くことなくこの街の喧騒に消えていきましたとさ。




原作でもアニメでも静←臨みたいな一方通行な関係がナチュラルに見える二人。
不思議。


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