P3で小ネタ(真主)

名前は公式(有里湊)で。



「ディア。………あーやっぱ治んないし」
ズキズキと節々の痛む体(主に下半身)をいたわるように有里はゆっくりと体を反転させてベッドに両肘をついた。
これで原因を起こした人は幸せそうに眠ってんだから怒る気失せるって本当。

「このボクシング馬鹿が」
部活ばっかで俺をいたわる気持ちがないならもうアンタが泣くほど好きだというプロテインの海にでも呑まれてしまえ。馬鹿。馬鹿馬鹿。
俺のことなんてほったらかして、すぐ夢の世界へ旅立つアンタなんて俺の前からいなくなればいいのになんて思ったら少しおかしくなった。

「……誰がボクシング馬鹿だ」
横で目蓋を閉じていた真田が少し笑いながら――しかし、にやりと悪いことを企む子供のような笑顔で視線を有里に向ける。

「なんだ、起きてたんですか」
「今目が覚めたんだ。お前の声が聞こえた気がしたからな」
「…別に呼んでませんよ」
嘘。嘘だよ。少しは呼んでた。
「そうか?」
無表情にそう言う有里。
しかしそれが彼なりの嘘だと気づいているのか真田はまたにやりと笑った。

「…その笑い方やめてください。見てて苛々する」
「俺はこの笑い方しか知らん」
そんなに見たくないのなら方法があるだろうと意地悪く真田は喋る。
何も見えなくなるくらい近づけ、と。

「簡単だろう?」
そう言いつつ真田は有里を誘う。

それならいっそ見えなくなるくらいまで遠ざかってしまうのもいいかなと思ったけど、その場合拗ねたこの人を相手にするのが大変そうだから、彼の顔に両手を添えて、その苛々する笑顔が見えなくなるように噛みつくようにキスをした。

ああもう、やっぱアンタ嫌い。





毒舌主。


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