最後の一日 今日が最後の一日と知ったとき、私は、あなたは、何を思うだろうか。 気がついたときにはすでに、私の寿命はあと一日になっていた。母と父は知っていた。 一緒に暮らしている祖父母も知っていた。友達は知らないようだった。 世界にはなんの変化もなくて、ただ一つ、私の時計だけが壊れてしまったみたいに。 誰から知らされたわけでもなく、ああ私は今日死ぬのか、と悟った。 不思議と未練はなかった。 もっとやりたいことたくさんあったはずなのに、どういうわけか私は人としての幸せを求めた。 母は私の好物のうどんやカレーを作ってくれたし、父は近場のショッピングモールに私を連れていって、大好きなキャラクターの大きなクッションを買ってくれた。 私がいなくなることを知っているみんなが、私に優しくしてくれた。 温かいお風呂にも入れてくれた。 結婚式の前夜のように、きれいに身だしなみも整えてくれた。 もうすぐ、私という存在が世界からいなくなる。 もっとたくさんの人にありがとうを言いたかった。 一日がこんなに早く感じたのは初めてだった。 私はできるだけ長く家族と一緒にいた。 だんだん眠たくなって、近くの椅子に寄りかかって、もう寝るね、と言って目をつぶった。 その後のことは、何もわからない。 夢日記 2018/01/22 小説のはこに戻る Copyright (C) 2015 あじさい色の創作ばこ All Rights Reserved. |