Sky is the limit! | ナノ
「とりあえず自己紹介でもしぃや」
「あー、うん。立海3年の渡邊梓」
「………それだけかいな」
それだけって…実際に言うことは何もないんだから仕方ないじゃないか。
「まぁええわ。梓ちゃんにはみんなの練習相手になってもらうで」
「……は?」
「やから、テニスの練習相手」
「ちょ、待っ「俺は納得出来ません」……」
おい誰だよ私の台詞に被せてきた奴!キッと睨むように―といっても相手には目が見えないので無意味―見てみれば、目の下の泣きボクロが印象的だった。ていうか、なんか偉そう。
「せやったら誰か梓ちゃんと勝負したらええやん」
ギョッとするような事を言ったのは、オサム兄の近くにいた白石くん。たったそれだけの言葉に周りはざわざわとして、静かになったかと思ったら、多分立海のモジャモジャ頭が前に出てきた。だから誰だよ、こいつ。
「じゃあ俺と打ち合いすることになったんで」
「え、やだよ」
「はぁ?」
「だって、」
理由を話そうとした時に、ぐぅううとお腹が鳴った。
「あ、そういや朝飯まだやったな」
「というわけだから。じゃ、私昼まで寝るね」
手をひらひらとさせながら来た道を引き返した。お腹が空いては戦は出来ぬってね。
泣きボクロが後ろで何か叫んでいたような気がするが、とりあえず今は眠いんだよね。あんだけ寝たのにな…。