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どうしたら良いのか分からず呆然と立ち尽くしていたら、あっと何かを思い出したかのような声が上がった。見てみると、赤い髪の人が私を指さした。

「貞子じゃん!」

「……」

その場は静まり返った。
確かに貞子と学校で陰口じゃないが言われているのは知ってる。てことは、立海の生徒?あ、もしかして他校にまで知られてるのかな。

「確かに貞子じゃのぅ」

「なぁお前なんでここに居るんだよぃ」

「知るか。私が聞きたい」

やたら馴れ馴れしく絡んでくる赤い髪と銀髪。なんなんだ、こいつらは。ふと隣を見ると、隣にいたオサム兄が小刻みに震えていた。キッと赤い髪と銀髪を睨み付ける。

「今度梓ちゃんに“貞子”言うてみぃや…その口喋れんようにしたる」

今まで何回かしか聞いたことのないドスの利いた声でオサム兄が喋った。
いや、別に嬉しいこと言ってくれたのは分かるよ?でもさ、体感温度が下がった気がする。みんな引いてるよ、何こいつみたいな目で見てるよ。
もう逃げたいなんて考えてたら、オサム兄に背中を押されて一歩前に出た。

  

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