Sky is the limit! | ナノ

 

メイドに連れられて歩いていると、聞き覚えのある音が聞こえる。しかも一つや二つなんかじゃなくて、たくさん。

「あの、どこに向かってるんですか?」

「あちらです」

「……テニス、コート?」

メイドが指した方向にはテニスコートがあって、大勢の人が練習をしている。テニスコートに近づけば、オサム兄が私に気づいて手を振っている。

「オサ「なんや、オサムちゃんの彼女?」…」

オサム兄と話せる距離まで近づいた瞬間、横から現れたのはミルクティー色をした少年だった。誰だ、こいつ。

「白石、勝手に話に入ってくんなや」

「遅刻したんは誰ですか?」

「ぐっ……」

笑顔が、なんか嫌な感じだ。胡散臭いっていうか、まぁそんな感じ。じとりと見ていたら、白石?くんの顔がこちらに向いて目が合う。

「初めまして、四天宝寺3年、部長の白石 蔵ノ介いーます。よろしゅう」

「はぁ、どーも。立海3年、…渡邊 梓です」

「渡邊?」

「俺と梓ちゃんは親戚やで」

「へー、そうなんや」

「とりあえず行くで」

白石くんから何か詮索されそうな雰囲気を断ち切ったのはオサム兄。今だけはオサム兄がかっこよく見えた。言ったら調子乗るから言わないけど。
テニスコートに向かっていたら、コートから大きな声で「休憩だ!」と誰かが言っていた。

「お、丁度ええやん」

コートに着いたと同時に、オサム兄が「こっち注目ー!」とかでかい声で叫ぶから、全員の目線がこっちに向いた。怖い、すっげぇ怖い!


  

- ナノ -