Sky is the limit! | ナノ

 

なぜかわからないが千歳くんに懐かれてしまいあの後もことある事にのしかかってきた。君は一体なにをしにこの合宿へ来たんだと怒鳴りたかったが生憎そんな勇気もなくされるがまま、私は私の仕事をした。

「私ってば偉くね?」

一人廊下で呟いてみる。今なら跡部くんに負けないくらいの高笑いが出来そうな気がする。

「・・梓?」

「へ?あ、仁王くん」

振り返れば今朝まで風邪で気だるそうだった仁王くんがけろりとした表情で立っている。手にはペットボトル、肩にはタオルが掛かっているが、まさかとは思うが

「・・・走りに行ったり、してないよね?」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・に、お、う、くん?」

「・・・ピヨッ」

あからさまに視線を外して変な鳴き声をあげる。こいつは風邪をなんだと思ってるんだ。少し大きな溜め息を吐けば、仁王くんは明らかにビクついた。

「・・・風邪は?」

「もう大丈夫ナリ」

「そう。ならちゃんと汗の始末しなよ」

プリ、と返事?をして仁王くんは自分の部屋へと戻っていく。私も喉が渇いたから、当てもなく歩いていたのを食堂へと向ける。因みに冷蔵庫(特大サイズ)に入っている飲み物や食べ物は全て自由にしていいらしい。太っ腹な跡部くんに今だけは感謝です。

「梓さん!」

「ん?あれ、柳生くん。どうしたの、そんな慌てて」

私の傍まで走ってきたのは汗だくの柳生くん。いつもは試合をしていてもあまり息が上がらないはずなのに、今は肩で息をしている。本当に何事だ。

「っはぁ・・・あの、仁王くんを、見ませんでしたか?」

「・・・えっと、仁王くんなら、多分今は部屋に居るかと」

「本当ですか?!」

全く仁王くんは、と怒りながら柳生くんは一言お礼を言ってから去っていく。なんていうか、柳生くんって大変そうだね。仁王くんがパートナーなんて私だったら耐えられないと思う。だって仁王くんって自由人っぽいし。

「・・・頑張れ、柳生くん」

見えなくなった背中に呟いた。

  

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