Sky is the limit! | ナノ
ガタガタと揺れているのに気づいて目を開ければ、車の中だった。車は走っているのか、窓の外の風景は勢いよく過ぎ去っていく。
「おそよう、梓ちゃん」
「……オサム兄、おはよ」
「もう10時やで」
「え、ウソ」
車に着いている時計を見れば、確かに10時を少し過ぎたところだった。ていうか、私寝てた時の服装なんだけど。ジャージにTシャツっていうなんとも可愛げのない服装なんだけど。
「これからどこ行くの?着替えたいんだけど」
「あと20分くらいで着くから、着いてからのお楽しみや」
運転しながら企んでるような顔で笑っているオサム兄。どうか厄介事に巻き込まれませんように。車はどんどんと市街地を離れて、山奥の方へと進んでいた。一体こんな山奥で何をするというのか。ただのキャンプってわけじゃないだろうし。
「あ、見えて来たで」
「…………はぁ?え、もしかしてアレが関係あんの?」
「おん」
見えてきたのは山奥には相応しくないでっかい城みたいな建物。さっきよりもオサム兄が笑みを深めていたのが、更に私の不安を大きくする。
あっという間に城について、中に入ると所謂メイドと呼ばれているであろう人達がいた。
「渡邊様ですね、お待ちしておりました」
一人のメイドが近づいて来たと思ったら、どうやら私達が来るのを知ってたらしい。どういう事だ。荷物を取られて、なんか部屋まで案内された。オサム兄にジャージに着替えてこいって言われたから、部屋の中で着替えるも、落ち着かない。部屋でかすぎるだろ。
着替えが済んで、部屋を出れば案内してくれたメイドに、また違う場所へと案内された。