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「じゃあ各自、自分の分をまずは終わらせる事。赤也、ブン太も出来る限り進めること」

「ぐっ・・・」

「わかってるよぃ・・・」

立海のテーブルにお邪魔させてもらって、私の隣はなぜか柳くんとジャッカルくん。まあ一番集中して宿題が出来そうな席だろう。幸村くんの指示の元、自分の宿題を広げる。国語に数学、理科に社会に英語。その他家庭科など大量の宿題が出された。いくら夏休みだからといって多すぎるんじゃないだろうか。

「梓ちゃんは自力で出来る?」

「あ、はい。大丈夫です」

柳くんの隣に座っていた幸村くんが笑顔で聞いてきた。何と言うか、こんなことを言うくらいに苦労しているのだろうか。チラリと真田くんの両隣に座っている切原くんと丸井くんの顔を見れば、切原くんは真っ青で丸井くんもどことなく青ざめているような気がしないでもない。

「精市、梓はこれでも学年8位だ」

「え、本当?」

「まあ、一応は・・・」

「ほう、意外じゃのぅ」

「それなら心配は要らないか。出来るだけ終わるように頑張ってね」

「うん」

コクリと頷きながら言えば、それに満足したのか幸村くんも自分の宿題を広げ始めた。隣では柳くんがものすごいスピードで数学の解答を埋めていってる。隣のジャッカルくんは国語が苦手なのか、悩みながらも解答欄を埋めていく。うん、私も頑張ろう。自分の宿題を開こうとしたら、カツンと何かが落ちた。

「?・・・あ」

視線を下に移せばいつも自宅での勉強中に使っているカチューシャが落ちていた。まさかオサム兄がこれまで持ってきてくれているとは。多少感心しながらも、しかしここでこれを使うのはためらわれる。カチューシャを拾いどうしようかと悩んでいたら、不意に手から取られ反応する間もなく視界が明るくなる。

「ふむ、似合っているじゃないか」

「おぉ、まるで別人みたいだな」

少しだけ眩しくなった視界。ゆっくりと目を開ければ柳くんとジャッカルくんの顔がクリアに見える。そこで、やっと気が付いた。

「っ、」

バッとおでこ辺りに手を持っていけば前髪が全て上に持ち上げられていた。恥ずかしさのあまりそれを取ろうとすれば、両隣から腕をつかまれ取るに取れない。

「そのままにしておけ。家ではそうなのだろう?」

「・・・ダメ、恥ずかしすぎる・・・取る」

「ほう、俺が折角つけてやったのに取るのか」

「うぐっ」

「柳、梓ちゃんを苛めすぎるなよ。まあ俺もそのままの方が良いけどさ」

まさかの幸村くんまでもが混ざってきて、結局はなぜか立海メンバー全員にそのままの方が良いと押し切られ取るに取れなくなってしまった。

「・・・やっぱ恥ずかしい、」

「気にしすぎだ」

問題を解いている間も、頬に熱が集まりっぱなしだったのは言うまでもない。

  

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