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夕食を食べ終わり、30分後にまたここで勉強会をするらしい。因みに夕食は全て食べきった。むしろデザートが出てきたので丸井くんと頷きあってから取りに行ったら呆れられたような視線を感じた。デザートは別腹なのは常識だろう。

「・・・宿題、かぁ」

めんどくさいな、と思いながら部屋に戻って鞄の中を漁る。あ、そういえば私勉強道具とか持ってきてないんじゃね?だってここに何しに来るのかも知らずにオサム兄に連れてこられたわけだし・・・うーん。


ピロピロピロ・・・


悩んでいたら携帯が鳴った。ディスプレイを見ればオサム兄と表示されていた。

「もしもし」

『梓ちゃん?今日勉強会するんやろ?』

「うん、そうらしいね」

『でな、梓の宿題も持ってきとるさかい、あとで持っていくな』

「・・・なんでオサム兄が持ってるの?」

『そりゃ梓ちゃん家出るときにちょちょいっと。堪忍な』

「はぁ、わかったよ。じゃあ持ってきてね?」

『おん』

ピッと電源ボタンを押して通話を終了する。なんというか、用意周到だなオサム兄・・・。まあ私も一人だったら宿題なんて夏休み最後辺りにやっちゃうタイプだったからありがたい。予定の30分後までまだ時間あるし・・・何しようか。ボフッとベッドに倒れこみながら天井を見上げる。あんなにラリーをしたの、本当に久しぶりだった。

「楽しかった、なぁ・・・」

また、いつか誰かとテニスを出来るだろうか。天井に向かって伸ばした手をぼんやりと見ていたら、死角から唐突に何かが現れた。

「うわぁっ!」

「いっ、!」

思わず伸ばしていた手で力一杯払いのけたら、小さなうめき声が聞こえた。急いで体を起こしてみれば、頬を押さえた四天宝寺の忍足くんが居た。サァッと自分の顔が青くなるのがわかる。

「ご、ごめん!大丈夫!?」

「あー、平気や」

慌てて忍足くんに駆け寄れば叩かれたであろう左頬に手を当てながら笑ってくれた。とりあえず冷やさなきゃと思い鞄からまだ使っていないタオルを取り出し、急いで水道で濡らし忍足くんに渡す。

「ごめんね、忍足くん」

「あ、おーきに。それと、あれや。その・・・」

「どうしたの?」

「忍足やのうて謙也って呼んでくれんか?」

「え?」

「あ、その・・・氷帝にも侑士・・忍足がおるやろ。混ざってしゃーないっちゅー話や」

「あぁ、なるほど。うん、わかったよ」

そう言えば安心したように謙也くんはホッと一息ついた。頬が若干赤みを帯びて腫れているのが見えて、またごめんと謝ると謙也くんはキョトンとした後に少し悩むような素振りを見せた。

「っ、」

「これでお相子っちゅーことでええやろ?」

ニッと笑った謙也くんはタオルの持っていない右手で私にデコピンをしたのだ。・・・地味に痛い。

「それより、もうすぐ時間やな」

「え?あ、ホントだ」

「ほな行くで、梓」

すくっと立ち上がり謙也くんは部屋から出て、まだ動けていない私に再度部屋の外から名前を呼んだ。

「梓ー?」

「あ、今行くよ」

後を追うように部屋から出て、先程夕食を食べた食堂へと向かった。

  

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