Sky is the limit! | ナノ
四天宝寺のコートから離れて、私もドリンクを貰おうかと歩いていた時に笛が鳴り響いた。
「今日の練習はここまで!さっさと片付けて風呂に入ってきな!」
大きな声がした方を見れば竜崎監督が仁王立ちしながら叫んでいた。
「・・・でも、終わるの昨日より早いような・・・?」
「何も聞いてないのか?」
「!」
背後から声を掛けられビクリと肩を揺らしてから振り返れば、柳くんが立っていた。いつも高速で何かを書いているノートは持ってなくて、ラケットを持っていた。
「今日は夜に全員で宿題をやるからな」
「え、聞いてないけど」
「・・・日程表を貰ってないのか?」
「日程表とかあったの?」
「あぁ」
オサム兄・・・なんでそんな大切なもの渡してくれてないんだ。ちくしょう!
「宿題は持ってきているのか?」
「あー、うん。一応持ってきてるけど」
「そうか。では、またな梓」
フッと口元だけ笑って柳くんはみんなの方へ帰って行った。ぶっちゃけ何しにきたのかは良くわからないが、とりあえず私も急いでドリンクを片付けてお風呂に入ろう。今日はいつもより動いたせいで汗かいてるし。カートに空になったドリンクを置いて、中身が残っていた最後の1本を飲み干した。
「ぷは、生き返る」
体内を冷たいドリンクが流れていく感じがまたなんとも言えない。ガラガラとカートを押して、後はメイドさんたちに頼んだ。うん、金持ちって凄い。
一度部屋に戻ってから浴場へ向かえば、以前丸井くんとぶつかった曲がり角でまたしても人と軽くぶつかる。今度は一体誰だ・・・!
「っと、わりぃ」
「あ、こちらこそすみません」
謝られたのでペコリとお辞儀をしてから顔を上げると、肩にタオルをかけている氷帝の宍戸くんでした。少しだけ頬が赤くなっていたからもうお風呂には入ったんだろう。なんて速さだ。
「宍戸さーん!待ってくださいよー!」
「長太郎・・・ゆっくり入ってこいって言っただろうが」
「すみません、・・あれ、梓さん?」
「・・・どうも」
宍戸くんの後ろから走ってきたのは鳳くんで、こちらもお風呂上りのような格好をしていた。目が合ったので軽く会釈をすれば、鳳くんも慌てて会釈を返してくれた。
「今からお風呂ですか?」
「まぁ、一応」
「ゆっくり入ってきてくださいね」
「お前が言うか?長太郎」
呆れたような宍戸くんの声に若干しょんぼりとした鳳くんと別れて、浴場へ向かった。やっぱり広い。隣からは絶えず声が聞こえてきた。