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「梓ちゃん!」

「・・・なんでしょうか」

「はは、冷たいなぁ」

ドリンクもタオルも出し終わったので何もしないのに日なたに居るのもあれなので木陰に移動しようとしていたら、コートからめっちゃいい笑顔で白石くんが私の名前を呼びながら走ってきた。絶対に何か企んでるだろ、あの笑顔は。

「梓ちゃん暇なん?」

「いえ、ちょっと休憩を」

「暇なんやな!丁度良かったわ、四天宝寺の練習に付きおうてくれへん?」

「いや、あの・・・ワカリマシタ」

「ホンマ?嬉しいわ」

・・・おかしいな、白石くんってば笑顔のはずなのになんか怖い。
渋々と四天宝寺が使っているコートへ向かえば、この暑さのせいか若干やる気が失せていた。

「みんなー、梓ちゃん連れてきたでー」

白石くんの後ろを歩いていたが、みんなが一斉にこっちを向いたので思わず肩が跳ねる。そして足が止まる。私が止まったのに気が付いた白石くんも後ろを振り返って私を不思議そうに見た。まあきっと彼は部長だから部員達から一斉に見られても平気かもしれないけど、私は平気じゃありません。なんて心の中で答えてみる。

「なんや姉ちゃんワイらと練習してくれるん!?」

「あー・・・まあ、」

「よっしゃあ!ならワイと試合せぇへん?」

「いや、あの、」

「えぇやろ!?」

「金ちゃん、」

ヒョウ柄タンクトップな遠山くんがものすごい勢いでこちらへ走ってきたと思ったらものすごい勢いでまくし立てられた。どうしたものかと考えた所で、白石くん登場。なぜか左手の包帯に手を当てながら。

「金ちゃん、大人しくせぇへんと・・・」

「どっ、毒手だけは嫌や!」

「・・・毒手?」

「あー、気にせんといてください」

二人のやり取りを見ていたら財前くんがすぐ近くまで来て呆れたように見ていた。それにしても毒手って・・・遠山くんも信じちゃってるし。わらわらと集まってきた四天宝寺メンバーに、いつぞやの千歳くんがいた。今日はちゃんと練習に参加してるらしい。

  

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