Sky is the limit! | ナノ

 

丸井くんにぶつかった後、お風呂場へ向かえば当然一人なわけで。のそのそと体を洗ってから、露天風呂があるのに気づき向かってみた。

「コシマエー!明日こそワイと勝負や!」

「桃城てっめぇ・・・!」

「静かに入らんか!」

「真田、うるさいよ」

ギャアギャアとうるさい隣には、彼らがまだ入っていたのか。ザバーンと時折聞こえる水音は誰かが飛び込んででも居るのだろうか。

「・・・賑やかだなぁ」

それに比べ私は一人ポツンとお風呂。ちょっとだけ寂しいんだけど。まぁ、声が聞こえるだけ楽しいかな。湯船に浸かり息を吐いたところで、ガラリとドアが開く音がした。ビックリして振り向けば、青学の監督さんが立っていた。

「お、梓ちゃんも今なのかい?」

「あー、はい」

「それにしても騒がしい奴らだね」

「・・・楽しそうで何よりじゃないですか」

タオルを肩に掛けて豪快に湯船に浸かった竜崎監督は、どことなく嬉しそうな顔をしている。隣からは未だに声が止まらなくて、仕舞いには監督さんたちも乱入して大騒ぎになっていた。

「梓ちゃんは、何でテニスを辞めたんだい?」

「、辞めたというよりも、元々本気じゃなかったので」

「・・・あれだけの実力がありながら、本気じゃない、ねぇ」

「すみません」

「いや、梓ちゃんが謝る事じゃないさ」

「でも、楽しかったのは本当です」

「わかってるよ」

「本当は、続けようとも思ったんです」

「・・・」

「でも、日本じゃ自由に出来なくて」

わがままですよね、と苦笑すれば、そんな事ないさと返された。それから少しだけ世間話をして、竜崎監督は早々に上がっていった。数分後、私もお風呂を上がり浴場を出たところで、隣で騒いでいたであろう集団と出くわした。なんてこった。彼らは私が入っていると思ってなかったのか、やや驚いた表情をしていた。


部屋に一度荷物を置きに戻ってから食堂に行けば、すでに全員が集まってがやがやとしていた。どこに座ろうかと考えていれば、幸村くんと目が合って、にこりと笑われ手招きをされた。お腹空いたなぁなんて考えながら幸村くんの前まで来れば、隣に座りなよなんて言ってくれたので一応お礼を言ってから座った。前には真田くんと柳くんが座っていて、明らかに私の居る場所ではないような気がする。

「これ、食べて良いよ」

「・・・ありがとうございます」

差し出されたのは幸村くんのであろうお肉で、残すのも勿体無いなと思いつい箸が伸びる。十分に咀嚼をしてから飲み込む。うん、やっぱここの料理最高だわ。もぐもぐと喋りもせずに食べていると、視線を感じる。顔を上げると、柳くんがこっちを・・・見てる?

「・・・何か?」

「いや、気にするな」

食事中に見られるのはあまり好きじゃないんだけどなぁなんて考えながらも、手はしっかりと食べ物を口へ運んでいた。


  

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