Sky is the limit! | ナノ
「いやぁ、梓ちゃんおもろいなぁ」
クスクスと笑いながら近寄ってきたのは、氷帝の忍足くん。私は特に面白い事をしてないんだけど。
「跡部にあんな事よう言えるな」
「・・・あぁ、樺地くんのこと?」
「おん。普通言えへんで」
忍足くんは未だに笑いが収まってないのか、肩を小刻みに揺らしている。
「別に、普通の事言っただけじゃん」
「跡部にあないなこと言ったの多分梓ちゃんが初めてやと思うで」
「・・・マジか」
普通の事をしたつもりだったのに。驚愕の展開だ。忍足くんは手に持っていたドリンクを一口飲んでから、やっと落ち着いたのかはぁー、と息を吐いた。
「もしかしたら跡部のお気に入りに入ったかもな」
「そりゃ勘弁」
「ククッ・・・普通女の子なら嬉しいやろ」
「・・・普通じゃなくて悪かったね」
「そう怒らんといてや」
微妙に笑いながら言われても逆効果なんじゃないのかと思う。周りのコートでは、それぞれラリーをしたり的当てをしたり練習に励んでいる。
「なぁ、試合した時みたいに前髪上げへんの?」
「・・・」
「前髪上げ取った方が可愛ぇで」
「生憎見られるの嫌いだから」
「そりゃ残念やなぁ」
「忍足!早く練習に戻れ!」
「おっと、相変わらず怖いわ。ほな」
跡部くんの怒鳴り声が聞こえて、忍足くんは練習に戻って行った。ちゃっかりと私の手に空のボトルを持たして。
「・・・まぁ、練習するなら良いか」
ドリンクの置いてあるところへ行けば、既にほとんどが空のボトルとなっていた。こりゃ一日に何回もドリンク運ばなきゃいけないフラグなのか。