貧乏少女M | ナノ
蓮二と一緒に柳家へ向かってはいるが、話はついさっき会ったゆっきーの話。というか単に私が一人で喋っているような気がしなくも無い。
「ゆっきーって美人さんだね」
「一応言っておくが、男だぞ」
「・・・はい?」
「だから、精市は男だ」
「わぉ、」
さらりと重要な事を言った。え、待て待て、ゆっきーって美少女じゃなかったの?すっごく美人で儚げで・・・可愛いのに。
「カルチャーショック」
「まあ気にするな」
「でもそこがなんだか焦らされたって感じで良い」
「・・・はぁ」
「なぜ溜め息をつく」
溜め息をついた蓮二をじろりと睨んでみても効果なんて全く無くて、結局は流されて終わる。悔しくなんて無い。
「ただいま」
「おっじゃましまーす!」
「あら、お帰りなさい。友里ちゃんもいらっしゃい」
柳家のドアを開けたらいつもの様におばさんが玄関まで来てくれた。そしてご飯はまだ準備中らしく、蓮二の部屋で休んでてとのこと。二階にある蓮二の部屋に蓮二の後をついて行けば、蓮二は私なんて居ないかのごとく着替え始めた。
「着替えるとか先に言ったらどうなんだい」
「それを言って出て行った例があるか?」
「・・・ございませぬ」
蓮二の部屋は相変わらず殺風景というか。そんな部屋が可哀想で私の家にあったゴリラのぬいぐるみをプレゼントしたんだが、部屋の片隅に居てかなり不自然だ。まあ、気にしたら負けだ。
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