貧乏少女M | ナノ

 

お昼休みが終われば、午後からは満たされたお腹と睡魔との闘いである。目の前のしーちゃんは既に夢の中へ旅立っているが、私はなんとしても平常点を落とすわけにはいかない。だって特待生じゃなかったらこんな学校居られなくなる。むしろ普通の学校も行けないだろう。金銭的な面で。

「そうして彼は――」

国語の授業ははっきり言うとかなり眠くなる。まず文章をただ目で追うだけということが眠くなるのだが、更に国語の先生は寝たくなるような声の持ち主だ。最強タッグすぎるだろう。
保っていた意識は次第にうつらうつらと船を漕ぎ始める。本格的に夢の中に行こうとした私の意識を、授業終了のチャイムが遮った。

「終わった・・・!」

長かった1日が今日も無事に終わる。そんな時、携帯がブルブルと震えた。ディスプレイを見れば見慣れた文字が映し出されていた。

「なんだろ」

カチカチと携帯を操作してメールを開いてみれば、“今日の夕飯を家で食べないか”というとてもありがたい申し出だった。すぐに返信をしたところで担任が入ってきた。

「特に連絡事項なし。気をつけて帰れよー」

ダルそうな風貌の担任は、やっぱり中身もダルそうで。鞄に教科書とかを詰め込んでいたら、再度携帯が震えた。今度はなんだろうと思ってみたら、久しぶりに一緒に帰ろうという文面。絵文字も顔文字も一切無いのがレンレンらしい。了解と返信をして、とりあえず校門で待っていよう。

「ふんふんふーんっ」

「ご機嫌ですね。何かあったのですか?」

「やぎゅ、聞いて!今日温かいご飯が食べられるかもなの!」

「おや、それは良かったですね」

「うん!」

「それでは、私はこれで。また明日」

「バイバーイ。あ、真田も!」

「うむ、早く帰るのだぞ」

鼻歌を歌いながら残りの教科書を鞄に詰めて、前の席で未だ寝ているしーちゃんを起こす。どれだけ寝る気なんだ、しーちゃんよ。

「しーちゃん、放課後だよ!」

「んー・・・ハッ、放課後?!」

やっば、部活!と叫んでしーちゃんは教室を飛び出て行った。バイバイ言いそびれたなーなんて思ってたら、廊下からダッシュしてくる音が聞こえる。

「友里!起こしてくれてありがと!またね!」

「うん、バイバーイ!」

伝える事だけ伝えたしーちゃんはまた廊下をダッシュで駆け抜けていった。私も今日はレンレンと一緒に帰るため、校門へと向かった。

そういえば、レンレンってなに部だっけ?・・・野球?バスケ?テニス?あれ?・・・まあ、いっか。ノープロブレム。




 

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