貧乏少女M | ナノ

 

「しーちゃん、お昼だよ!」

「・・・んー・・・・・」

前の席でうつ伏せ状態になって寝ているしーちゃんのイスをガタガタと揺らして起こせば、ダルそうに起き上がった。鞄からお弁当を取り出して、私の机に置いてご飯を食べる状況を作り出す。私も鞄からいつものパンの耳を取り出した。

「いっただきまーす」

「いただきます。あれ、友里そんだけ?」

「うん。なんか私以外にもパンの耳貰いに来た人が居たらしくて」

「そうなんだ。あ、たまごやきいる?」

「良いの?!」

「はい、あーん」

パクリと口を開けてたまごやきを貰う。うん、相変わらずしーちゃん家のたまごやきは絶品だ。もしゃもしゃとたまごやきを味わって味わって、味わって飲み込んだ。袋からパンの耳を一つ取って口へ運ぶ。相変わらず味はパンの耳って感じの味だ。だけど今日は取っておきがあるんだ!

「じゃじゃーん!」

「・・・ジャム?」

「そう!この前レンレンから貰ったんだー」

「よかったじゃん」

小瓶に入ってるのはイチゴジャム。ちなみにレンレンの祖父母の家で取れたイチゴを使って作ったらしい。本当にありがたい。レンレンが家の近くに引っ越してきてなかったら私は一生イチゴジャムなんて食べれなかったかもしれない。

「少しだけ味見させて?」

「良いよー」

しーちゃんにだけは特別にあげちゃう!だってたまにお弁当のおかずくれるんだもん!それにどれだけ助かってるか。スプーンを持ってないのでしーちゃんは箸で一つまみして口へ運んだ。

「どう?美味しい?」

「・・・うん、美味しい!」

「ホントに!?」

「いいなぁ、私も欲しい」

「これは絶対にあげないよ!」

「友里から食べ物を取ろうなんて思わないわよ」

サッとジャムの入った小瓶を隠したら苦笑いをしたしーちゃん。

「もう一口くれない?唐揚げあげるから」

「どうぞっ!」

ジャムも美味しいけど、やっぱり久しぶりに食べる唐揚げには勝てないよ。




 

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