貧乏少女M | ナノ

 

「レンレーン!」

「……」

「ごめんなさいマジごめんなさい」

冗談のつもりで呼んだのに無言の威圧感。勉強机に座ってノートをまとめている蓮二。因みに今日は部活が休みらしいんだが、ノートを覗いてみればテニスだろうことがズラズラと書かれている。

「夕飯はまだだろ?ウチで食べていけ」

「わ、良いの?いやぁ、昨日食料尽きたんだよね」

「フッ、相変わらずだな」

「それほどでも」

「褒めてない」

ベッドに腰かけて、他愛もない話をする。そんな時間が地味に好きだったりする。
ノートをまとめ終わったのか、ノートを閉じて隣に座った。身長も座高も高いなんて…!

「蓮二の身長私にくれよ」

「脈絡のない話だな」

「まぁ気にしない気にしない。私も身長欲しいなー」

「…俺は小さい方が好きだけどな。丁度良いサイズだし」

ポンポンと自分の足の間を叩く蓮二。その場所に座り直せば、後ろから抱きつかれて肩に頭を置かれる。

「…いつか蓮二を追い越す!」

「そうか、楽しみにしている」

クツクツと蓮二が笑った。何をするわけでもなく、ただボーッとしていたら、おばちゃんが夕飯だよと呼んだ。

「いつもありがとうございます」

「気にしなくて良いのよ」

「友里の手料理でチャラにしよう」

「あら、それ良いわね」

「そんなことならお安いご用です!」

手料理を作るだけでご飯が食べられるなんて嬉しすぎる。

「今日は泊まっていかない?」

というおばさんの一言で今夜の暖かな布団が用意された。

「蓮二の家には迷惑かけっぱなしだね」

「気にする事はない」

「んー、でもなぁ」

「それなら俺の手伝いでもするか?」

「そうだねぇ…ま、これから考えるか」

「食べるものがなくなったらいつでも来ると良い」

「うん、ありがとね!じゃあ、おやすみ、蓮二!」

「あぁ、おやすみ、友里」

電気を消して、布団に入る。うん、悪くない。明日はバイトがあるから、早く起きなきゃ。
ゆっくりと睡魔が襲ってきて、気がつけば夢の中。


「ずっと、俺の近くに居れば良いのに…なんてな」


そんな言葉が夢の中で聞こえた。





貧乏少女M、完結。

2011.06/22



 

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