貧乏少女M | ナノ

 

「――で?」

「いや、お前ってすげぇとこに住んでんだな」

「なに、同情?同情するなら飯をくれ!」

なぜか私の家には、テニス部レギュラーらしい人達が集まっていた。この狭くてボロいアパートになんて負担を…!床は歩くたびにミシミシと音を立て、すきま風がヒューヒューと入り込む。家具なんかは必要最低限のものしか置いてない部屋を見て、みんなが同情したような目で私を見た。

「とりあえず座ったらどうだ」

部屋の奥に詰めるようにして座っている蓮二が声をかけて、漸くみんなが座った。はっきり言って、狭い。みんな体育座りじゃないと入りきらないし。

「…で、何しに来たんだよう」

テストが終わって折角の休みだっていうのに、朝から蓮二達が来たせいでゆっくりと寝ることも出来やしない。

「まぁそう言うんじゃなか」

「そうだぜぃ!折角菓子持ってきてやったんだからよぃ」

「え、お菓子?」

「テストの打ち上げだってよ」

「ひゃっほーい!マジでか!」

「今回は赤也がお世話になったからね。好きなだけ食べてよ」

ニコリと微笑むゆっきーが天使に見えました。みんなが持ってきてくれた袋を真ん中に置いて、朝っぱらからお菓子パーティーが開かれた。

「わぁ…お菓子なんてやぎゅに貰った以来だよ…!」

「そうなんですか?」

「最近しーちゃん冷たくてさぁ、くれなかったんだよ」

「宮下!ボロボロ溢すな!」

「まぁまぁ、落ち着けよ」

弦ちゃんに怒鳴られたりジャコーに助けられたり――。

「へへっ」

「なに笑ってるんスか?」

「んー…楽しいなぁって」

誰かと遊ぶのもだけど、家にこんなにたくさんの人が集まったことなんてないし。そんな言葉を呟けば、みんな何故かにやにや笑って言った。

「また来るからな!」

「―――っ、うん!」

午後からは部活があるらしく、ぞろぞろと私の家を出ていった。




 

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