貧乏少女M | ナノ

 

「じゃあイチゴパフェとチョコパフェと抹茶パフェで!」

「……どれか一つにしろ」

「えぇ!?パフェ奢るって言ったじゃん」

「普通に考えて一つだろう」

「むぅ…蓮二の意地悪ー」

「そうか、食べたくないか」

「わーっ、嘘ですごめんなさい!」

「フッ」

勝ち誇ったように蓮二が笑った。くそう…!

「じゃあさ、俺はチョコパフェ頼むから友里は違うの選べよぃ。そんで一口ちょーだい」

「ブンちゃんナイスアイディア!」

「だろぃ?」

あ、でもイチゴと抹茶どっちにしよっかなー。どっちも食べたいし。

「なら、俺が抹茶頼むよ」

「!」

「ダメかな?」

首を傾げるゆっきーが、天使のように見えました。

注文してから結構すぐにきて、ペロリと食べた。もちろんブンちゃんとゆっきーから一口ずつもらった。やっぱ甘いものは良いね!

それから各々勉強道具を取り出して、勉強を始めた。解らないところを教えあったりしながら。

「パンの耳先輩、」

「ん?なんだい切原少年」

「ここが解んないんスけど」
「2年の問題かー」

「あ、やっぱ忘れてますよね?」

隣に座ってる切原少年が見せたのは2年の英語の教科書と問題プリント。私がパラパラと教科書を捲ると同時に切原少年の眉も下がる。

「超ヨユー」

「……へ?」

「1年前のことくらい覚えてるよ」

「マジっスか!」

「友里は一度教科書を読んだら内容を全て覚えている」

「んなっ!?」

驚いた顔で、みんなの視線が私に集まった。

「あー、まぁ一度で覚えないと死ぬ生活してたっていうか…」

「死ぬ…?」

「うん。昔ね、山の中に住んでたんだけどさ、食べられる草とか両親一度しか説明してくれないわけ。それでちょっと死にかけたこともあるから、覚えるようになったんだよねぇ」

苦笑いしながら私の過去…といっても、大したことないけど…を話したら、なぜかみんなに同情っぽい視線を向けられた。なぜだ。

「パンの耳先輩、大変だったんっスね」

「それが普通だったからなぁ…特に何も感じなかったよ」

「……それよりも、勉強するぞ」

蓮二の言葉で、また教科書やノートなどに目をやる。私は教科書を見ながら、切原少年のプリントを手伝った。



「切原少年、すごくバカだったんだね」

「…本人の前では言ってやるなよ」

「うぃ」

なんて会話をしながら蓮二と二人で帰った。




 

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