貧乏少女M | ナノ

 

朝教室につくと、静かだった。ていうかみんな居なかった。何故だ、と思ったけど、今日の1時間目は体育だった気がする。証拠に男子の脱け殻(制服)が机の上にあった。

「んー、暇だし行こっかな」

女子更衣室で着替えて、授業をしているであろうグラウンドへ向かった。現在男子がサッカーをやっていて、女子はテニス。ぶっちゃけテニスとか面倒ってわけで、男子がやってるサッカーのところへ。
やる気のなさそうな隅っこにいた男子と変わってもらい、周囲を見渡す。お、真田と同じチームだ。

「真田、パース!」

「うむっ!って、宮下!?」

「シュートっ!」

真田からもらったパスをゴールに目掛けて蹴れば、なんと決まってしまった。私ってばすごい。

「宮下さん!?なんでこっちに居るんですか!」

「あ、やぎゅおはよ!真田もおはよ!」

「おはようございます、じゃなくて!」

「そうだぞ宮下、女子はテニスだ」

「違います、私が言いたいのはですね、今登校してきたのですか」

「む?」

「うん、そだよー」

「なに!?たるんどるぞ!」

「やだな、ちゃんと来たんだから良いじゃん」

「そういう問題じゃありません!」

ガミガミと怒る二人を前に、それ以上なにも言えなかった。





「あれ、なぁ仁王」

「なんじゃ」

「アイツって昨日の奴じゃね?」

丸井の指す方を見れば、確かに昨日カフェで働いていた友里が、真田と柳生に怒られている。てか、何したんじゃ。

「あの二人の説教とか耐えられねぇ」

「そうじゃのぅ…あ、気づいた」

「におー!ブンちゃん!」

まだ説教が終わってなかったのか、こちらへ走ってくる友里の後ろで柳生が待ちたまえと叫んでいる。

「今日の体育って合同だったの?」

「なに言ってんだよぃ」

「体育はいつも合同じゃよ」

「……マジか」

地味にショックを受けてるような表情をした友里はその後すぐに真田と柳生に捕まり、説教をされていた。



 

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