貧乏少女M | ナノ

 

「あ、ゆっきー」

「宮下さん?」

「うん、そうそう」

授業を受けるのがダルかったから1時間だけサボろうと中庭に来たら、なんとビックリゆっきーが居ましたとさ。

「何してるの?」

「花壇に水をあげてるんだよ」

「・・・サボり?」

「自習中」

「あぁ、なーる」

てっきり私と一緒でサボってきたのかと思ったが違ったらしい。あ、そういえばサボる時にやぎゅと真田に止められたんだっけ。やだなぁ、真田怒ると怖いんだよね。

「宮下さんはどうしてここに?」

「サボりー」

あまりに私が堂々としすぎていたせいかゆっきーは苦笑した。まあ1時間ぐらいサボっても立海はテストできれば特待生になれるし。

「ここの花壇ゆっきーが手入れしてるの?」

「そうだけど」

「美味しそうだね、この花」

「えっ、」

素直に感想を言えばゆっきーは驚いたような声を出した。あ、普通花には“美味しそう”じゃなくて“綺麗だね”とかって言うんだっけか。

「ふふ、美味しそうなんて初めて言われたなぁ」

「ごめんごめん、綺麗だよ。綺麗過ぎて美味しそうなだけ」

「結局は美味しそうにいくんだね」

「だって本音はそれだから。本音言われる方がゆっきーは好きかなって思ったんだけど」

「・・・うん、そうだね。嘘を言われるよりも本音がいいかな」

ゆっきーは本当に綺麗に笑うと思う。それから世間話をしながら花に水をかけ終わったらゆっきーは教室に帰っていった。




 

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