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ぼんやりとテレビを見ていたら、窓の外にひょっこりと姿を現した犬。迷い込んだのかな、なんて思ってソファを立つと赤司くんとさつきちゃんの口論が止まる。
「どうしたの?志乃ちゃん」
「え、あの・・・犬が、」
スッと犬の方を指せば「わふ!」と元気のいい鳴き声が聞こえてくる。しかし何故だろう、犬なのに無表情に見える。いや、尻尾は振り切れんばかりに振られているんだけどね。
「あ・・・ご飯あげるの忘れてた」
「えー、またぁ?」
「あげてくる」
ソファから立ち上がり窓に近い棚の中から犬用の缶詰を取り出す赤司くん。それにぷりぷりと怒りながら後を行くさつきちゃん。立ち上がってしまった私はどうしたら良いのかと戸惑っていれば、さつきちゃんに手を引かれ犬のところまで来た。美味しそうにご飯を食べるわんちゃん。
「可愛いなぁ」
「でしょでしょ!?この子ね、テツヤ2号っていってテツくんに本当にそっくりなの!」
きゃあ!と頬を赤に染めながらテツくんという人の事を話し出すさつきちゃん。よほどその人の事が好きなんだろうが、なぜこのわんちゃん・・・テツヤ2号?の話からその人の話になるのか私にはわからないよ。
「あ、さつき」
「なに、赤司くん」
「常盤さんに家の中案内してあげて」
というわけで、現在さつきちゃんと一緒に家の中を徘徊中です。なんていうかね、ドアが全部大きいよ。私こんな大きなドアって初めてだよ。
「2階はね、みんなの部屋になってるんだよ」
1階の風呂場や台所など案内してもらってから、2階への階段を上がる。2階について目に入ってきたのはドア。いや、ドアなんだけど、もの凄く多い気がする。ドアにはそれぞれ色とりどりのプレートがぶら下げてあり、名前も書かれているということは一緒にここに住んでる人なのか・・・。こんなに居るなんて聞いてないよ・・・!
「あ、志乃ちゃんはここの白いプレートのところね!あとで名前書かなきゃ」
「うん、ありがとうさつきちゃん」
私の部屋はどうやら奥の角部屋らしい。隣は青峰さんって人で、前が黄瀬さんって人。どんな人なんだろうか。
「私の部屋は隣の隣だからね。何かあったら呼んでね?」
「うん、わかった」
「じゃあ後は・・・外の方かな?」
行こっか、とさつきちゃんに誘われるがまま来た。が、どういうことだ。
「に、庭にバスケコートがある・・・」
「ここに居るみんなバスケ好きなの」
「すごいね」
「私も最初はビックリしたんだぁ。あ、あっちは2号の小屋だよ」
「おおう・・・犬小屋も立派だね」
この家に相応しい(?)犬小屋だと思う。あと物置なんかもあるらしい、ということでさつきちゃんの案内が終わりリビングに戻ってきました。