楽しければ全ておk | ナノ
昨日の夜はテンションが荒ぶって思わず突発ワラ生をしてしまった。その後すぐに寝ようかと考えていたのだが、光からのスカイプ通話で気がつけば深夜の3時。それから寝たのだが、もう眠いのなんのって。
「雑賀ー、昼部活の集合あっからー」
「おー、わかった」
「つか眠ぃの?」
まさか切原にまでバレるとは・・・私相当やばいな。切原はすぐに弁当を持ってどこかへ走って行ってしまったので、私も静かなところで仮眠を取ろうと思い鞄を引っ掴んで教室を出た。どこか静かな場所、と考えてみるも眠たい頭は動いてくれる事はなくて気がつけば屋上のドアの前。まあ最近少し肌寒くなってきたから誰もないだろう。
ガチャリ、と鍵の掛かってないドアを開ければ冷たい風に包まれる。ぶるりと体を震わしてから、屋上を見回せば人影なし。
「よし、」
備え付けられているベンチに腰掛けて、弁当を食べる。このベンチが日の当たる場所にあってくれて本当に良かった。日陰だったら寒さで死んでたかもしれない。十数分で食べ終わった弁当箱を鞄に入れ、代わりにipodを取り出す。これの中には数多くのボカロ曲とボカロ曲とボカロ曲・・・しか入っていない。しかし今日聞くのは光から送られてきた、私も歌わないといけない曲のみをリピート再生する。
「んー、何度聞いても良いわ」
リズムと音程を感じながら聞いていたがあまりの日当たりの心地よさに、気づけばイヤホンの片方は耳から外れそのまま寝てしまっていた。
「ん、・・・あ、れ?」
キーンコーンカーンコーン、と鳴り響く鐘の音で目が覚めた。私寝てたのか・・・。知らず知らずの内に寝てしまい固まった体を動かそうとしたら、ぱさり、とブレザーの上着が落ちた。
「?何でブレザー・・・」
床に落ちそうになったブレザーを掴み、よく見てみれば男子用のブレザーである事が判明。見ず知らずの方が寝ている私に掛けてくれたのだろうけど、困った。
「誰のだろ。今日中に返さなきゃだよね」
最近は朝とか寒くなってきてるからブレザーがないと寒いと思うし。しかし立海のブレザーには名前を明記する場所はない。
「ん?・・・あ、生徒手帳みっけ」
畳んでる最中に硬いものがポケットの中に入っていたので、悪いとは思いつつも手を突っ込む。中から出てきたのは生徒手帳。ラッキー、なんて。
「なになに・・・3年C組、幸村精市・・・先輩かぁ」
持って行くのめんどくさいなー、なんて考えていると自分のポケットに入れていた携帯が震えた。今度はなんだ。メールを見てみれば差出人は切原で、もうすぐ授業始まるけどどこに居るの?という至極ありふれた内容だった。というか、ちょっと待って。
「っ、やっばぁあああ!」
携帯の時刻を見れば授業が始まる2分前。屋上から教室まで全力疾走したら間に合うか間に合わないか、ギリギリのところだろう。ipodも乱雑に鞄の中に突っ込み、ブレザーを手に階段を駆け下りた。どうか間に合いますように・・・!
「雑賀、」
「・・・」
「あれ、雑賀ー?」
「はいっ!ちゃんと居ます!」
「おー、早く席に着けー」
点呼にギリギリ間に合い、ぜぇぜぇと息を荒げながら席に着けば切原が後ろを振り返った。
「ざまぁwww」
「よし、切原コロス」
「いっつ!」
パァン、とデコピンをしてやれば中々に攻撃力が高かったのかおでこを押さえる切原。すぐに先生から「そこ煩いぞー」なんて言われ、切原も渋々前を向いた。