楽しければ全ておk | ナノ
朝起きてビックリ。不在着信とメールの数が半端ない。ホラーじゃないかってくらいの量が届いている。・・・全て切原からなのだが。
「これなんてホラー。あー・・・昨日のワラ生のか・・?」
まだ冴えない頭を動かしながら一番上に表示されているメールを開く。
差出人:切原赤也
件名:(無題)
本文:
なんで返事しねーんだよヽ(`Д´)ノ
明日聞くからな!
じゃあおやすみ!
何というか、律儀というか・・・。それから次のメールを開いていくも大体一言で、内容は似たり寄ったりでワラ生の告知について。切原らしいと言えばらしいのだが。まあ、なんか悪い事しちゃったなぁと。そして今日は朝から大変そうだ。
「おはよー」
「あ、奈緒ちゃんおはー」
教室に入れば予鈴まであと15分もあるせいか人数も疎らだ。切原はもちろん部活の朝練があるらしいから、まだ来ないだろう。日課となってしまった自分の席に座って音楽を聴きながら携帯をいじる行為。しかし今日はいつもと少し違うのだ!なぜなら、今聞いてるのは昨日善哉Pこと光が送ってくれた曲だ。PVも完成させて歌も録らなきゃだから大変ったらありゃしない。指でリズムを取りながら曲を聞いていたら、教室のドアが激しく開いた。
「雑賀ーっ!!」
「!」
「おまっ、昨日のどういうことだよ!てかメール返せよ!」
ズカズカと教室に入ってきたと思いきや自分の席に鞄を放り投げ、私の肩を掴みガクガクと揺さぶられる。ちょ、気持ち悪くなるだろ。
「ちょ、切原、落ち着いて」
「落ち着いてられるか!」
「ちょ、まじ、気持ち悪い」
「あっ・・・悪い」
「ぐふっ・・・私はもうダメだ、切原、後は、頼む・・・」
「雑賀ー!」
「おーい、席に着けよー」
なんかよくわからない茶番を始めたらタイミングよく担任が入ってきた。そのせいではぐらかされた(別にはぐらかしたいわけじゃないんだけど)切原は不貞腐れたように自分の席に着いた。特に伝える事もなかったのか朝のHRはすぐに終わり、切原がバッと後ろを振り返ってくる。少しは頭も冷えたのか、先程よりも小さな声で話しかけてきた。
「で?どういうことだよ」
「私だって昨日知ったばっかだし」
「・・・メールは?」
「携帯サイレントにしてたてへぺろ」
「殴っていい?」
「ごめんなさい」
机とこんにちはするくらい勢いよく頭を下げれば、頭上から溜め息が聞こえた。仕方ないじゃないか、私だって知らなかったんだから。顔を上げたら思いのほか切原が近くに居てビビッた。
「・・・財前潰す」
「え?」
「なんでもねー」
前を向いてしまった切原が何て呟いたのか声が小さすぎて聞き取れなかったが、とりあえず喧嘩にならなくて良かった。折角見つけたワラ厨仲間だからね!