楽しければ全ておk | ナノ
生放送が終わったのを確認し、窓を閉じる。いつもの自由にやっている生よりドッと疲れた気がする。いや、気がするんじゃなくて本当に疲れた。
「んじゃ、今から送るわ」
「いやいやいや、ちょっと待とうか」
なんていう私の制しも聞かずにスカイプに圧縮されたファイルが届く。
「まあ騙されたと思って聞け。善哉Pの新曲やで?」
「ぐっ・・・!」
善哉Pのまだ未発表の曲とかwktkすぎるんだけど・・・!だがしかし、ここで聞いてしまったら後戻りは出来ないぞ。いや、もう告知しちゃったから後戻りなんて出来ないんですけどね!どれくらい迷っていたのかわからないが、気がつけば私は圧縮ファイルを解凍していた。
「・・・っ、っ!」
「その気になったやろ?」
曲はすでにベタ打ちだがミクの声も入っていて、善哉P独特のリズムと歌詞に全てを持っていかれる。声にならないとはまさにこの事で、私はただパソコンの前で悶えるしか出来なかった。
「っ、さすが、善哉P・・・!」
「俺とのユニットも捨てたもんやないやろ?」
「〜〜っ、あーもう!わかったよ!やるよやりますよ!」
「流石俺の目のつけた大福さんや」
「・・・はあ、一体いつから考えてたのさ」
「会った日から」
「おうふ、まじでか。あ、てかPVとか作る?」
「おん、頼むわ」
「おk、頑張るー」
その後数回会話をしてから、スカイプを切った。そして私のすることはというと、先ほどの曲を聞きながらPVの構想をするのである。あー、今日は徹夜フラグですかこんちきしょー。
「・・・でもまあ、やるからには度肝を抜きたいよね」
引き出しの中からスケブを取り出して、思い浮かんだ構図を描き出していく。サイレントモードにしていた携帯が鳴っているのなんて、気づかずに。