楽しければ全ておk | ナノ
「はよー、切原」
遅刻ギリギリくらいで教室に入ればすでに切原は自分の席に着いていたから、鞄を置きながら挨拶をした。すると切原はガタンッと机を揺らして驚く。ちょっと止めてくれ、教室の視線が痛い。
「おおお、おまっ・・!」
「とりあえず落ち着け。はい、ひっひっふー」
「ひっひっふー・・・ってそうじゃなくて!」
まさかラマーズ法を本当にやるとは思わなかった。少しだけ笑うと、切原は明らかに不貞腐れたような表情をする。
「笑ってんじゃねーってかなんでそんな普通なんだよ・・・」
「ああ、別に切原がなにやってようが今更じゃん?」
「そりゃそうだけどよ・・・もっとこう、どうしよう!?みたいな反応は?」
「うーん・・・確かに思ったけどどうしようもないし」
そりゃ切原がレッドさんだったなんて驚き以外の何者でもなかったけど、まあ知ってしまった事実は受け止めるしかないだろう。そんな事を考えていたら、切原から、お前って男前だな、と呟かれた。
「ま、今まで通りよろしくってことで」
「・・・おう」
少しだけ泳いでいた切原の目線が、ピタリと止まって嬉しそうに笑った。なんだコイツ、狙ってるのか。鞄の中身を引き出しの中に入れていたら、担任がガラリと教室のドアを開けて入ってきた。さて、今日も一日が始まるのか。
まあ授業は相変わらずで、眠くなるわ目の前の切原は寝てるわ先生に怒られてるわで、まあいつも通りだった。あれ、大福さんが後ろにいるーとかで緊張しないの?とかちょっと思ったけど、いつも通りにって言ったのは私だしな。うん。
「切原今日も部活?」
「おう」
「ふーん。じゃあ今度暇な時に生しようよ」
「おう・・・って、はあ!?」
「あ、だめ?」
折角レッドさんと知り合えた(というか知り合いだった)からワラ動で盛り上がろうと思ったんだけどな。切原の返事にwktkしながら待っていたら、あー、とか、うー、とか唸りながら、意を決したように顔を上げる。
「仕方ねーから付き合ってやるよ」
「え、なんか上から目線とか気に食わないんだけど。まあ良いや。んじゃよろしくー」
部活頑張ってね、と言えば当たり前だろ!と少しだけ大きな声が返ってきて、丁度教室を出たところで赤髪と銀髪の二人組みが教室をのぞいてきた。うわー、不良かな。
「赤也ー!部活行くぞ!」
「はよしんしゃい」
・・・まさかのテニス部!若干引きながらも私は家路に着いた。だって赤髪に銀髪って(笑)とか思ってても決して言わない私は偉いと思います。
「お、妙技師さんの動画うpされてる」
今度はどんなお菓子を作ったんだろうか。帰ってから見なくては!