---

　
「光ー、もうそろそろ帰るわよー！」

マリカーで白熱していた私たちの間に響いたのは光のお母さんの声。そういえば大阪から来たんだっけ？

「遠いねぇ」

「なんや、今更」

「いや、大阪に帰ったらまた会えなくなるなーと」

「昨日初対面みたいな感じやったけどな」

「え、お前ら昨日会ったばっかなのかよ？」

少しだけしんみりとした空気を漂わせたが、呆れたような驚いたような複雑な表情をした切原によってさよならだ。まあイトコと言ってもほぼ初対面の友達同士が同じベッドで寝てたらそりゃ複雑だよね。私だってギャルゲで落としたい子がお兄ちゃんと同じベッドとか複雑だもん。

「あ、メアド教えてよ」

「･･･しゃーないな」

「え、なんでそんな渋々なのさ。私のメアドだよ？希少価値あるよ？」

「･･･ハッ」

ま　た　鼻　で　笑　っ　た　･･･！
ちくしょう、どうせイケメンだからアド帳も女の子いっぱいなんだろ！でも光はワラ厨なんだぜ、知らないだろー。あ、でも光ってなんとなくだけど煩い女子とか嫌いそう。私もチャラい男嫌いだし。
赤外線ポートを合わせればものの数秒でお互いの情報が登録される。切原と光も交換しとけば？と言えばかなり渋々な状態で二人はメアド交換をした。え、なにこの余計な事しちゃった感。

「ま、レッドさんが切原だとは薄々感じとったけどな」

「･･･え？」

「へ？」

「お前ら気づいとらんかったんか･･･？」

あからさまに馬鹿かコイツらみたいな顔をしている光。だが問題はそこではない。あれだ、レッドさんってどこのレッドさん？ポ○モンのレッド？それとも私が好きなワラ動で実況してるレッドさん？いやいや、まさかね。HAHAHA

「なっ、なんで知ってんだよ！？」

「声聞けば解るやろ。むしろなんで今までわからへんかったんや」

「え、てことは財前もワラ厨･･･！？」

え、え、え、え、え？ワラ厨？切原がワラ厨って言った？じゃあやっぱりレッドさんって私の好きな実況のレッドさん？いやまさか。レッドさんはもっと違う人だと思う。きっと切原の言っているレッドは私の知ってるレッドさんじゃないはず。

「･･･潰す！」

「レッドさんの名言キターーー！！」

生潰すに思わずテンション上がったけど、あれ、やっぱり切原がレッドさんなの？どうしよう、切原も呆然としちゃってるよ。誰か現状を解りやすくまとめてくれ！

「まあつまり、切原が実況主のレッドさんで、奈緒が大福さんで、俺が善哉Pってことや」

わお、とても解りやすい回答をありがとう光。でもね、やっぱりどうしても混乱しちゃうんだ。

「はぁあああ！？え、善哉Pに大福さん！？」

「え、あ、うん。一応、」

「マジかよ･･･」

「ま、そういうことや」

どうして光はこう冷静なんだろうか。もっと驚いたりしないの？わー、それにしても昨日今日で2人のワラ厨仲間(しかも投稿者)に出会うなんて。あれ、もしかしてこれなんかのフラグだったりする？

「光ー、帰るわよー」

光のお母さんの声で若干現実逃避をしていた思考が戻ってきたが、どうしたらいいのかわからず、結局切原も光たちの後に続き帰ってしまった。

「･･･明日からどんな顔すればいいんだ･･？」

いや、普通で良いのか？むしろ普通じゃないといけないのか？リアルにワラ厨の仲間なんて今まで居なかったからどうして良いのかわからないとか笑える。うん、とりあえず普段通りでいっか。
　　

---