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目覚ましが鳴る音で目が覚める。あと5分、と言いたいところだが、今日は雑賀の家にゲームをしに行く約束をしているから早く起きる。

「ふぁ、」

眠ぃ、と欠伸をしてから起き上がり背中を伸ばせばパキッと背中の骨が鳴った。

「あら赤也。部活がないのに早いのね」

「んー・・・今日雑賀ん家に行くから」

「そう。くれぐれも迷惑かけないようにね」

「それぐらいわかってるよ」

「ならいいけど。お母さん仕事に行ってくるわね」

「・・・いってらっしゃい」

「行ってきます。戸締りしっかりね」

ガチャリと玄関のドアが閉まる音がして、家の中が一気に静かになる。いや、姉貴とかも居るんだけどまだ寝てるし。適当に朝飯を食べて、出かける準備をする。と言ってももう何回も行った事のある雑賀の家なので大して緊張する事も無い。着替え終わり、時間帯は9時を少し回ったところ。携帯を弄りながら玄関へ向かう。

「あれ、大福さんがタイムシフト消してる。うわー、ショック」

毎週金曜日に大福さんが放送してるのを楽しみにしていたのに。つかタイムシフト消すなんて珍しいというか、今まで無かったと思うんだが。理由が知りたくて、生放送中に付けられたタグを見てみれば、

「・・・善哉P!?」

嘘だろ、善哉Pってあの善哉P?今まで素性なんて一切明らかにならなかった善哉Pが大福さんと知り合い・・・。リンクから大百科に飛べば、すでに更新されている善哉Pのページが目に入る。

「男だったのか・・・てか大福さんと親戚とか羨ましいな。ん?あ、やっべ!」

不意に目に入った時刻が、9時30分と表示されていたため、慌てて家を飛び出して雑賀の家へと向かった。




―ピンポーン

呼び鈴を鳴らしてからすぐ、ドアが開いて雑賀のお母さんが出てきた。

「赤也くん!おはよう、いらっしゃい。さ、上がって」

「おはようございます!」

遠慮なく上がらせてもらう事にするが、ふと見慣れない靴が2足あるのに気がついた。新しく買った靴か、誰か来てるのか。

「ごめんね、奈緒ってばまだ寝てるの。適当に起こしちゃって」

「ウィーッス」

苦笑いをしながら伝えてくれたおばさんに返事をしながら、慣れた足取りで雑賀の部屋に向かう。てか、勝手に開けて良いのか?しかも寝てるんだろ?これってアレじゃね、

「、フラグ?」

いや、まあ別に俺と奈緒で何か展開するわけないしな。

「雑賀ー、朝だ・・ぞ、」

ノックもせずにドアを開けてベッドの上に目をやれば、雑賀は男に抱きついて寝ていた。

・・・いやいやいや、落ち着け俺。一回ドアを閉めるんだ。きっと何かの見間違いか何かだ。そうに違いない。だってあの雑賀に彼氏なんて出来るわけ、あ。そういえば玄関に男物の靴あったよな?もしかしてアイツの?え、どうしよう、俺が邪魔っぽい感じ?

一度閉めたドアを再度開けてみるも、先ほどと状況は何一つ変わっていなかった。どうしたら良いのか途方に暮れていると、もぞもぞと雑賀が動いた。

「・・・んぅ、切原ぁ?」

「お、おう」

まだ寝惚けているのか、ぼけーっとした雑賀と目が合う。雑賀はゆっくりと起き上がり、まだ寝ている男の方へ視線を向けた。

「おわっ!」

「あ、雑賀!」

雑賀は隣の男に驚くと同時にベッドから落っこちた。部屋の入口に立っていた俺もゆっくりとベッドの方へ近づいて、今度は俺がびびった。

「財前!?」

あれだ、誰か説明頼む。
  

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