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「じゃあ、光はベッドで寝ていいよ」

「・・・奈緒は?」

「徹夜に決まってんだろjk」

「どや顔で言うなやアホ」

「アホって・・・酷い」

ぐすっと泣きまねをしたら同情するような視線を感じた。ちくしょう、光のせいだっつの!そんな私の心情を他所に光はさっきの漫画の続きを読み始めた。早く続きが読みたい気持ちはわかるけどね。私だってその漫画好きだし。
むぅ、とやや不貞腐れながらパソコンを立ち上げて途中まで仕上げていたレンきゅんの絵を完成させることにしよう。





全32巻を読み終えて時計を見れば、夜中の2時を回っていた。思いのほか時間が掛かったな、なんて思いながらイスに座ってパソコンを弄っていた奈緒に目を向ければ、寝ていた。

「・・・風邪引いたらどうすんのや」

はぁ、と溜め息をついてからめんどくさくて仕方ないが、奈緒をベッドへ運ぶ事にする。起きないように気をつけるも、案外適当に扱っても起きないことがわかった。ベッドにボフンと落としても、少し身じろぐだけですやすやと寝ている。パソコンの電源を落としてから奈緒の方へ向かえば、間抜けな顔をしていた。

「ホンマ、警戒心なさすぎやろ」

起こさないようにゆっくりと髪を梳けば、どこか優越感に浸ったような感覚に陥った。

「っ、アホか・・・」

自分の前髪をグシャリとしてから、先ほどの事を忘れるように頭を振る。奈緒とはイトコで、そんだけの関係なんや。せや、きっとこの変な状況が変な気を起こさせとるに違いない。

「・・・・・寝るか」

パチッと部屋の電気を消して、奈緒が寝ている方とは反対側のベッドへゆっくりと入る。もちろん奈緒には背中を向けて。


な の に 、


「っ、コイツ・・・!」

なに背中に抱きついとんねん!アホか、ホンマのアホか・・・!
いつもより少しだけ速くなった心臓を落ち着けようとするも、その度に奈緒が身じろぐ。

「・・・俺がなにしたってゆうねん」

悶々としながら、気がつけばそのまま寝てしまっていた。
  

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