楽しければ全ておk | ナノ
きちんと生放送が終わったのを確認してから窓を閉じる。
「いやあ、ありがとね」
「別に」
「エ○カ様か」
という私のツッコミに対して光はスルースキルを発動し、本棚に並んでいた漫画を読み始めた。ちくしょう、イケメンだからって何でも許されると思うなよ!でも喋りかけるのもちょっと怖いから私はいつもと同じようにパソコンでネトサをする。ワラ動を一番最初に確認しちゃうのは仕方ないと思うんだ。
ワラレポを確認してランキングを見て。その後は暇だった(光は漫画の続きをどんどん読んでいる)から、支部になにかイラストを投稿するためにペンタブを引っ張り絵を描き始める。どれくらい時間が経ったのか、1階からお母さんが「ご飯よー」って言うまで夢中になって描いていた。絵?それはもちろん
「相変わらず奈緒はレンのイラストか」
「別にいいじゃないか。レンきゅんマジ天使」
「はっ」
「なんだその鼻で笑ったような笑いは!」
「ような、やなくて鼻で笑ったんや」
「ちくしょう、背後には気をつけるんだな!レン廃が黙ってないぞ」
「アホらし」
ひらひらと手を動かしながら光はご飯の為に部屋から出て行く。なんだろう、この敗北感。腑に落ちないまま私もご飯を食べる為に部屋から出た。チラリと時計を見ればもう20時ではないか。どれだけ集中してレンきゅんを描いていたんだ私。だが後悔はない。
「奈緒、お皿とか出して」
「はーいよっと」
棚の中から適当な皿をチョイスして出していると、玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい」
「あ、おかえりー」
「おう、ただいまー。あれ、直子さん?」
「そうです、お久しぶりですね」
「いやぁ、本当に!あ、じゃあそこの子はもしや光君かい?」
帰って来たお父さんとお母さんの妹さん(直子さんというらしい)はテンションが上がりはじめて話し始めた。なんだろう、女子高生っぽい。ノリが。そんな二人を他所にお母さんはご飯の準備を淡々としていき、あっという間にテーブルの上にはたくさんの料理が並べられた。
「・・・こんなご馳走久しぶりだわ」
「そうなん?」
「うん。だっていつも皿が二つか三つくらいだし」
「・・・そんなもんやろ」
「そうかな」
5人でテーブルを囲むように座り、大皿に盛られた料理を小皿に取り分けて食べ始める。光のところのお父さんは出張らしい。わいわいと話をしながらご飯を食べ終える。
「あんた達お父さんが上がったら早くお風呂に入っちゃいなさいよ」
「あー、光から入っていいよ」
「・・・んじゃ、お先に貰いますわ」
「いいえー。あ、タオルとかは好きに使っていいからね」
「っス」
お母さんに対してはちゃんと敬語を使う辺り偉いな、と思う。絶対に言わないけど。そんな事を考えていたらお父さんが上がってきたので、光が入れ替わるようにしてお風呂へ行った。私はリビングのテレビでバラエティー番組をぼーっとしながら見ていた。