目には目を、歯には歯を | ナノ
中庭のベンチに座り私が作ってきたお弁当を一つ渡す。荻野先輩は微笑みながら、ありがとう、と言ってくれて、それだけで私のテンションは最高潮になる。
「てかさ、日和何したわけ?」
「何がですか?」
「笹部香織、さっき廊下で絡まれた奴」
「あぁ、あの不細工。知らないよ。むしろ私の肩にぶつかってきたのあいつだし」
「あー・・・日和に喧嘩売るとかすげぇわ。尊敬する」
「・・・あいつの事、気になるんですか?」
「ん?あぁ・・・多少な。そう心配そうな顔するなって。日和は別格だからよ」
「・・・荻野先輩」
ぐしゃりと髪を撫でられ、あまりの気持ちよさに目を閉じていた時だった。ポケットの中の携帯が震える。幸せな一時が一瞬にして終わり、若干イラッとしながら携帯のディスプレイを見れば、兄ちゃん、と表示されている。
「、もしもし」
『やあ日和。どうやら学校ではめられたみたいだね』
「・・・なんで兄ちゃんが知ってるのさ気持ち悪い」
『俺の可愛い妹を心配する気持ちを気持ち悪いって、酷くない?』
「臨也さん?」
「あ、うん」
『あれ、荻野君も居るんだ。久しぶりだね。じゃあ、邪魔しちゃ俺が嫌われちゃうからまたね』
一方的に切れた電話をポケットに直しながら、やっぱり兄ちゃんの情報収集力って侮れないと思う。だってついさっき・・・10分も経たない内に私がはめられた情報手に入れるとか。どこかに隠しカメラとか盗聴器があるのかな?
「日和?どうかした?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
「そう?臨也さん何か用事?」
「んー・・・さっきの情報がもう渡ったみたい」
「へぇ、相変わらず早いね」
「気持ち悪いよね」
「そんな事言ってやるなよ。心配してるんだろ?」
「過保護すぎるんだよ、兄ちゃんは。それより、早くお弁当食べましょう」
手を合わせ、二人一緒にいただきます、と言ってからお弁当を開けて食べ始める。ちゃんと彩りとか健康の事にも考えて作っているつもりだ。だって荻野先輩が食べるんだし。今日も荻野先輩は笑顔で、美味しいよ、と言ってくれた。