目には目を、歯には歯を | ナノ
昨日は荻野先輩の家で夕飯(先輩の手作り)をいただいた。そのおかげで今日のテンションも絶好調、のはずだったんだけどなぁ。
「聞いてんのかよぃ!」
「悪あがきはよしんしゃい」
朝っぱらから目に悪そうな赤と銀。もう止めて欲しいよね、おかげでテンションガタ落ちだよ。そして赤、煩い。
「なんか言ったらどうなんだよ!」
「うるせぇ耳元で大声出すな馬鹿」
「なっ・・・!テメェ俺は先輩だぞ!?」
「・・・ああ、あまりにも馬鹿そうなので気づきませんでした」
「ッ、ざけんなよ!」
ガシャァン、と赤によって蹴られた私の机が他の机も巻き込み倒れる。一体これを誰が直すと思ってるんだコイツは。やっぱ馬鹿だわ。
「馬鹿につける薬はここにはありませんけど」
満面の笑みで言ってあげれば、髪同様に顔を真っ赤にさせて激怒する。そして口よりも先に手が飛んできた。
「おっと、危ないですね」
「何避けてんだよぃ!」
「別に私マゾじゃないですし。痛いの嫌いです」
「・・・へぇ、痛いの嫌いなんか」
「ああ、居たんですか。空気になっててわかりませんでした」
私と赤の間に入ってきた銀はニヤリと嫌な笑みを浮かべ、赤にボソボソと耳打ちする。何を話したのかは聞き取れなかったが、私にはデメリットしかないのだろう。だって、あの赤も同じように嫌な笑みを浮かべている。というか、こいつら狂ってね?
「ま、今日のところはこの辺にしといてやるよぃ」
「また来るぜよ」
もう二度と来るな、なんて言葉はめんどくさい事になりそうなので飲み込んだ。私ってば偉い。
「・・・サボるか」
テンション下がりっぱなしでメンドクサイ授業なんて受けてられるかっての。飛ばされた机もそのままに、私は教室から出た。多分誰かが直すだろうし。あの状態で授業なんて出来ないからね。
「あーあ、マジめんどくせぇ」
呟いた声は静かな廊下に消えていった。