目には目を、歯には歯を | ナノ

 
「静ちゃん久しぶりね!会いたかったよ!」

「へぇ、そりゃ良かった」

私が絡んでない右手で頭をぐちゃぐちゃにするように撫でてくれる静ちゃん。これってなんか安心するんだよね。

「あ、静ちゃんこれから暇?」

「生憎仕事中だ」

「えぇー・・・そんなのトムさんにやらせとけば良いじゃん」

「日和ちゃん、一応俺ここに居るから」

「あっ、トムさん!」

少し後ろの方から声がして、振り返って見ればドレッドヘアに似合わないスーツに身を包んだトムさんが苦虫を噛み潰したような顔をしていた。「全然気づかなかったよ」と笑いながら言えば更に気を落とした。

「冗談冗談。ちゃんと気づいてたよー」

「はは、日和ちゃんってば冗談キツすぎだよ」

「ごめんねトムさん。静ちゃん借りて良い?」

「いや、それはちょっと」

「ちぇー」

流れで静ちゃんの仕事がなくならないかなって思ったけど無理らしい。

「じゃあ私帰ろっかな」

「・・・臨也んとこか?」

「そだよー。今日は兄ちゃんに用事があって来たの」

「・・・」

「やだな、静ちゃん嫉妬?きゃっ、私照れちゃう」

「そんな真面目な声で言うセリフじゃねぇな。ま、気をつけて帰れよ」

「うん。静ちゃんとトムさんも仕事頑張ってね」

ひらひらと手を振り別れ、二人と逆方向へと歩き出す。兄ちゃんもう帰ってきてるかな。帰ってきてなかったら夕飯全部食べちゃおっかなー。
  

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