秘密の森にて君と | ナノ
宍戸に昨日話したことは多分今日はもうがっくんまで伝わってると思う。俺たちの間では情報の横流しは当たり前・・・まあ俺たちに関わる事だけだけど。今日は部活が休みだから、放課後に四ノ宮ちゃんのところに行ってみよう。
「・・・楽しみだC」
最近はずっとわくわくしていて、寝ることが少なくなった。でもやっぱり授業中とかはちょっとだけ寝ちゃうんだけど。早く放課後にならないかな。
放課後になって、鞄を持って急いで四ノ宮ちゃんがいる小さな森に行った。急いだせいで少しだけ擦り傷が出来たけど、こんなのすぐ直るし。ガサガサと足音を立たせながら歩いて、開けた場所に出る。
「珍しいですね、放課後にいらっしゃるなんて」
「ダメだった?」
「いえ、嬉しいですよ」
「へへへ、良かったC」
四ノ宮ちゃんはいつもと同じでイスに座って、テーブルには紅茶が置かれている。また「どうぞ」と言われたのでイスに座る。
「今日は部活が休みだったんだC」
「あら、そうですの?」
「うん!だから四ノ宮ちゃんに会いに来ちゃったC」
「ふふ、ありがとうございます、ジローくん」
「四ノ宮ちゃんは何時に帰るの?」
「さぁ・・・迎えが来ますので」
少し困ったように眉を下げて四ノ宮ちゃんは笑う。そんな顔も可愛いな、なんて思ったり。それからは四ノ宮ちゃんが学校の事を聞きたいって言ったから、俺が今日あったことや聞いた話などをたくさん話した。
「あ、そういえばジローくんは何部に所属しているんですか?」
「俺はテニス部だC」
そう言えば四ノ宮は少しだけ驚いたような表情をして、口を開こうとした途端、近くでガサリと誰かが近づいてくる音がした。こんな場所に来るのは、多分俺みたいに迷ったやつか四ノ宮ちゃんが言っていた迎えの人だろう。そう、思っていた。
「アーン?ジロー、こんな場所で何してんだ?」
「・・・跡部?」
現れたのは見慣れた跡部だった。きっとお互い頭の中は“なぜ”と思っているに違いない。だって跡部の顔もそんな表情をしている。
「ふふ、やっぱり二人は知り合いだったのね」
「四ノ宮ちゃん?」
「椿?」
「あのねジローくん、景吾が私の言ってた幼馴染なの」
「・・・え?」
「ったく、新しく出来た友達ってジローの事だったのかよ」
くすくすと面白そうに笑う四ノ宮ちゃんと、少しだけ呆れたような跡部が視界に入る。まさか跡部が四ノ宮ちゃんの幼馴染だったなんて知らなかった。