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大人の味


ちひろはかなりの甘党だ。少しでも辛いと感じたら食べれない、その為ちひろの嫌いな食べ物はカレー。お子様なら誰だって大好きなはずのカレーが嫌いだという。以前甘口のカレーがダメだったから甘口のカレーにりんごと蜂蜜を混ぜたのにそれすらも辛いという。姉として少しだけ将来が心配になった。

仕事が休みなのでリビングでカラ●ーチョをポリポリと食べながらくだらないバラエティ番組を見ている。私はちひろと違って辛党。そんな時、てててっと可愛らしく私に走ってくるちひろが見えた。

「ゆーちゃん、なにたべてる?」

「・・・ちひろも食べる?」

「ん!」

なるべく小さいのを選んで一つだけちひろの手のひらに置けば、何のためらいもなしに口へと放った。カリッと一口噛んだ瞬間、ちひろはピシッと効果音がつきそうな感じで停止した。

「ちひろ?」

「ッ、ッ!!」

名前を呼べば戻ってきたのか、口元を押さえてキッチンへと消えていった。刺激が強すぎたみたいね。戻ってきたちひろの大きな目には涙が溜まっていた。

「ゆーちゃ、それきけん!」

ビシッと指したのは私の握っているお菓子。まあ、ちひろにとっちゃ危険かな。

「これはね、大人の味よ」

「・・・おとなの、あじ?」

「そう。ちひろには早すぎたみたいね」

 

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