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シスコンで何が悪い


今日は部活も無くて家でゆっくり、するはずだった。なのに俺は今、ちひろと手をつなぎながら近くのスーパーに来ている。母さんに頼まれた肉と牛乳を手に取り、レジへと向かう。途中、お菓子コーナーに入ったが気にもせず進んでいたら、ちひろと手を繋いでいたほうの手が後ろへと引っ張られる。

「・・・ちひろ」

「まーくん、あれ」

そう言ってちひろが指差したのは棒スティックをチョコにつけて食べるという、子供なら惹かれるお菓子だ。

「欲しいんか?」

「・・・だめ?」

「仕方ないのう。一個だけじゃぞ」

「ん!ありがとまーくん」

こてんと首を傾げるちひろは可愛さ抜群、なんて考える俺はシスコンか。まあちひろの笑顔が見れるだけで満足と言えば満足。たかがお菓子一個くらい安いものだ。

レジでお会計を済ましてスーパーを出ると、丸井とばったり出会った。最悪、なんて思う前に気がつけば丸井弟と楽しそうにはしゃぐちひろの姿が目に入った。

「仁王、お前に妹なんていたっけ?」

「・・・おう」

「へぇ。あ、俺丸井ブン太。シクヨロ」

「ブンちゃん、ナンパはいかんぜよ」

「ナンパじゃねぇし!」

「・・・ブンちゃん?」

「おう!お前は?」

「ちひろはちひろ」

「ちひろちゃんか。啓太と遊んでくれてありがとな!」

「ん!」

「ちひろ、帰るぜよ」

「あい。またね、けーくん」

「うん、またな!」

バイバイと手を振るちひろは可愛い。思わず口角が上がりそうになったが、にやにやと笑ってる丸井を見て気分が急降下した。



(まーくん、あーん)
(あー・・・)
(おいし?)
(美味しいなり。ちひろも、あーん)
(ん、)

 

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