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優しい手

部屋でテニス雑誌を読んでいたら、ノックもなしにドアが開いた。誰かと思ってドアの方を見たらまだ髪の先から水が滴っているちひろが立っている。

「まーくん、あそぼ」

「その前に、ここに座りんしゃい」

「ん、」

ポンポンと自分の足の上を叩けばてけてけと走ってきて、胡座をかいた雅治の真ん中に座る。肩にかかっていたタオルを取って頭を拭いてやれば、気持ち良さそうに目を細めるちひろ。

「ちゃんと髪乾かさんと風邪引くぞ?」

「・・・まーくんがふいてくれる」

「それもそうじゃな。よし、こんくらいで十分じゃろ」

「ん!あそぼ」

ある程度拭きおわったあと、満面の笑みでちひろは人生ゲームを持ってきた。

「ほう、人生ゲームか」

「や?」

「そんなわけないぜよ。ちひろと遊べてまーくん嬉しいなり」

「ちひろも、まーくんとあそべてうれしい!」

「・・・相変わらず可愛いのう」

「う?」

雅治が頭に手を置けば、人生ゲームの準備をしていたちひろはこてんと首を傾げる。それからは、二人で人生ゲームをやった。



(あ、まーくんしゃっきんした)
(・・・シビアなゲームじゃのう)


 

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