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ホラー映画

何故か幸村からホラー映画を見てくるように言われたのは、昨日の部活後。レギュラー全員に選ばされたDVDのパッケージは全部違っていて、中には話題になったやつも混ざっていた。


「一体どういうつもりなんじゃ…」


幸村の考えることは突拍子のないことが多い。だからといって言われた通りにやらなかったら更に酷い結果となる。
溜め息をつきながらリビングにあるデッキにDVDをセットた。


「まーくん、なにしてるの?」

「ちひろか。これからDVDを見るんじゃよ」

「ちひろもいっしょに見る!」


とてとてと走ってきて、いつもテレビを見るときのように雅治がしている胡座の真ん中にちょこんと座った。それを確認してから、リモコンでDVDを再生する。ホラー映画にありがちな暗い雰囲気とは違って、なぜか明るくて見易いようになっている。



――ドンッ!!

「(ビクッ)」


明らかに“来る”だろうとわかるような時にも、肩を竦めて驚くちひろ。


「…(可愛いのぅ)」




普通のホラー映画よりも短かった。最後のEDまで見終わると、ちひろも途中からずっと上がっていた肩がゆっくりと下がっていた。


「…わっ!」

「(ビクッ!)」

「ククッ、ちひろは怖がりじゃのぅ」


後ろから肩を叩いて驚かせば、明らかにビックリとしたリアクションをとった。それから、目に涙を一杯溜めながら「こわくないもん!」と主張したらしい。





その日の夜
「まーくん、こわくない?」
「平気じゃよ」
「……」
「嘘、まーくん怖くて一人じゃ寝れんなり。一緒に寝てくれるか?」
「!…しょうがないなぁ」
「ほれ、こっち来んしゃい」
「ん!」

 

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