再海 | ナノ

 
それからは本当に大変で、まず文字が読めないし船酔いはするし敵が来ても戦えないし。でも少しずつレイリーさんやロジャー船長、船員の人達も教えてくれて、どんどんとこの世界が好きになりました。でも、心は成長するのに、身体は成長しないんです。この世界に来たときと同じ髪の長さになったら今まで伸びていた髪もピタリと止まりました。それから私は、ロジャー船長が海賊王になり、処刑されるまでこの世界に居ました。


35:考えていたこと


「・・・とまあ、こんな感じですかね」

苦笑しながらみんなを見渡してみればぽかんとした表情が多い。まあいきなりこんな話されれば誰だってそうなるだろうけどさ。

「じゃあ、サラはゴールド・ロジャーの船に乗ってたってことかよい」

「・・・そうなります」

「親父はこのこと知ってたのかい?」

「グララララ、最初に会った時に聞いた」

親父さんは笑うけど、やっぱり隊長さん達はあまり良い顔をしなくて、シャンクスさんもどことなく気まずいような表情をしている。そんな中、ただ一人、眉を下げて私を見ている人が居る。ぱちりと目が合って、にこりと笑ってみせればぎこちない笑みを返してくれたエースさん。

「・・・親父さん、お願いがあります」

「何だ?」

「レイさんに会いに行かせてください」

「“冥王”か・・・どうしてだ?」

「もう一度、帰ってきたと報告したいのと、みんなの気持ちが落ち着くまで私はここに居ない方が良いと判断したからです」

「・・・そうか。良いだろう」

「親父・・!」

「大丈夫だ、マルコ」

親父さんの決定には誰も逆らわなくて。どことなく寂しいような気がするけど、私がわがままなんて言ってる場合じゃないんだ。そう言い聞かせて。

「グララララ・・!今日は宴だ」

どんな意図があるのか分からないけれど、親父さんの一言で今日は宴になるらしい。それでも、未だ浮かない顔をした隊長さん達がいた。


 

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