再海 | ナノ

 
夏休みの初日だというのに、私は学校だ。別に期末試験が悪かったとかそういうのじゃなくて、みんな補習があるんだよね。教室に入れば友達からはおはようと声をかけられ、それに私も応える。そんな、いつも通りの生活だった。


01:ある日の日常はいとも簡単に崩れ去ったとさ


席に着いて5分もしない内に担任が教室に入ってきた。それからは授業が始まって、ちらりと教室内を見回せばダルそうに前を向いてる人や夢の中に旅立っている人、真剣に授業を聞いてる人など様々だ。折角朝から学校に来てるんだから少しくらい真面目に授業を受けたらどうだと言いたくなる。

「〜で、ここがこうなるから〜〜」

板書をしながら淡々と説明をしていく。多分先生も面倒なんだろうなとか思いながら、私は適当にノートを書いた。


普段が午後まで授業があるせいか、午前中だけだと早く感じてしまう。学校から出て向かう先はファミレス。そこで昼食を食べてから少しだけ宿題をやろうかと思っている。あれだよ、昔から夏休みとかの宿題は最後まで残して最終3日間ぐらいは地獄の日々だからね。今年こそはそうならないように頑張りたいものだ。

――カランカラン

店の中に入るとお昼時だからか結構な数の人が居て、中には同じ学校の制服の人も見かけた。あちらさんは友達と一緒だったけど。
お昼を食べ終わり、宿題に取り掛かった。



あれからどれくらいの時間が経ったのか、ふと窓の外を見てみればオレンジ色に染まり始めていた。時計を見れば時間は7時前を指していて、約4・5時間は宿題をしてたのか・・・。
勘定を済ませ店を出れば、まだ昼間の暑さが残っておりアスファルトからくる熱にじんわりと汗が滲んだ。

家の前に来ればポケットから鍵を取り出して開けた。鍵はまたポケットにしまい、私は家のドアを開けた。

「ただいまー」

そう何気なく家に入って玄関のドアを閉めただけのはずだった。

「グラララ、誰だおめェ」

不思議な笑い声が聞こえてきて、顔を上げるとなんとびっくり、巨大な人が堂々と座ってました。その人の前にはなんか金髪の変わった髪型の人が立っていた。周りを見れば木製の部屋だというのがわかった。

「あー・・・もしや白ひげさん?」

「そうだ。おれを知ってンのか」

「まぁ、一応?」

「親父、コイツ怪しいよい」

記憶を辿って名前まで思い出せたのはいいが、どうやら状況は悪いらしい。金髪の人はギロリと効果音がつきそうな程私の事を睨んでいる。溜め息をつきたいところだけど、そんな状況ではないだろう。あー、また私はこっちでの生活が始まるのか。


 

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