再海 | ナノ
倉庫のドアにもナース室と同じように能力をかけ、私も手助けするべく甲板へと乗り出した。
27:反撃の狼煙を上げろ
ドアを開ければ倉庫を護るように戦っているビスタさんの背中が目に入った。周りを見回せば先程よりも人数が増えた仲間の数だが、それでもまだ圧倒的に敵の数が多かった。
「ビスタさん、ありがとうございました」
「・・・もう良いのか?」
「はい。倉庫内には誰も入れませんよ」
「サラの能力が大活躍だな」
「まあ、これくらいしかできませんから。さてと、ちゃっちゃと片しちゃいましょうか」
「!・・フフッ、心強いな」
にやりと口角を上げればビスタさんもまた、口角を上げた。するりと手に持っていた鞘から刀を抜けば真っ白い刀身が現れ、太陽の光を反射した。きらきらと輝く刀身はあの頃と変わらないままで、ずっと私を待っていてくれたような気さえした。
「綺麗だなァ、その刀」
「!」
急に声がして後ろを振り返ればリーゼントが特徴であるサッチさんが立っていて。私と目が合った瞬間に笑ってくれたが、すぐに目つきを鋭くして近くまで迫っていた敵に蹴りを入れて相手を吹っ飛ばした。
「親父の船に仕掛けるとは良い度胸じゃねェか。野郎共!押されてんじゃねェぞ!」
いつもは温厚なサッチさんが叫ぶと、船の下の方からも大きな雄叫びが聞こえてきた。さっきまでは敵が優勢だったのに、サッチさんが叫んだだけで白ひげの士気は上がって。普段ナースさんにナンパしては振られてるサッチさんもやっぱり隊長だなぁってしみじみと感じていた。
「ウラァ!」
「っと、」
目の前から襲い掛かってきた男を避け、思いっきり刀を振る。因みに峰打ちだからただ相手は気絶するだけ。まあ起きるのも時間の問題だと思うけど大丈夫だろう、たぶん。なぜならば先程のサッチさんの一言で何だかんだで私たちの方が有利になってきているから。しかし、何故か一番狙われているのが私なんだ。女だからと言うこともあるんだろうけれども、私の周りに転がる気絶した人たちを見ても何とも思わず向かってこれる精神が凄い。思わず尊敬しちゃうくらいに。
「サラー!」
「あれ、エースさんまで帰ってきてたんですか?」
「当たり前だろ!」
コツン、とエースさんの拳が私の頭に当たった。どうやら私に切りかかってくる敵を相手しているうちに既にほとんどの船員達は帰ってきたんだと。それならそうと誰か私の身を心配して助けに来てくれる人は居なかったのか・・・!まあ別に平気だけどさー、ねぇ?
「それより、もうあっちの首は取ったぞ?」
「え、マジですか」
「おう。後はそこらに転がってるやつを片付ければ終わりだ」
「うわー、ホントだ。じゃあ後片付けはエースさんに任せますね」
「何でだよ!」
「だって私これから用事が「おーい!倉庫が開かねェぞ!」・・・用事があるので」
「お、おう・・頑張れよ」
倉庫に行って能力を解けば呆気なく開いたドアからエミリさんが目に涙を溜めながら私に抱きついてきた。ナース室でも同様に。