再海 | ナノ

 
先程まで慌しかった甲板も、海に出ればいつものようにゆっくりとした時間に。というわけにもいかず、甲板では隊ごとで鍛練をしていた。私は隊が決まっているわけでも戦闘員というわけでもなく、親父さんの隣でその光景を眺めていた。


17:何事も相性の問題です


中でも一番元気なのが2番隊。エースさんがまだ若いということもあるが、隊全体が若い人が多いということも理由の一つだろう。あとはエースさんがとってもはりきってること。

「・・・元気ですね、エースさん」

「当たり前ェだ。おれの息子だからな」

そう言うと親父さんはグララララと楽しそうな、嬉しそうな笑い声を立てた。私もつられて笑えば、近くに居たナースさんが仲が良いですねと微笑みながら言った。それからまた甲板に目を戻せば、こちらへ向かってくる人が1名。遠目からでも分かる、特徴的な服装をした彼。スタスタと迷うことなくこちらへ歩いてくるイゾウさん。

「サラ、」

「・・・」

「・・サラ?どうかしたのか?」

「・・・!ぁ、なんですか?!」

「いや、一緒にどうかと思ってな。銃を使うのは慣れてないだろう?」

「そう、ですね」

「グララララ、教えてもらえば良いじゃねェか。イゾウなら銃の扱いも慣れてるしなァ」

「親父さん・・・。じゃあ、よろしくお願いします、イゾウさん」

「承知した」

てっきり親父さんに話があるんだと思っていたのに、まさか鍛練をしてくれるなんて。驚きも大きかったけど、それよりもただ嬉しかった。行くかと声をかけてくれたイゾウさんに笑顔で返事をしたが、そういえばイゾウさんも隊の人たちを見ないといけないんじゃないのかな。聞こうか聞くまいか悩んでいたら、隣からくつくつと笑い声が聞こえた。もちろん笑ってるのはイゾウさんで。

「大丈夫だ、全員2番隊と組み手を始めたからな」

「そうなんですか・・・。あの、」

「顔に出てたぞ」

「!」

「遠慮するな。もう家族なんだからな」

「っはい!」

「ところで、鵺(ぬえ)と言ったか・・・。なんで名を知っていた?」

「・・・悪魔の実の力、だと思います。稀に声が聞こえてくるんですよね」

あははと苦笑すればイゾウさんは少しだけ目を見開いて。

「相手を操る以外にもできるんだなァ」

「まあ相性が良くないと何にも聞こえませんけどね」

甲板の隅の方に移動してホルスターから鵺を取り出した。黒く妖しく光るそれ。けれどごつい感じはなく女性でも扱えそうで。とりあえず持ち方からスタートした。


 

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