再海 | ナノ
「島についたぞー!」
そんな第一声で、私は夢の世界から現実へと引き戻された。部屋の小さな窓から外を見れば島が見え、更には市場でもあるのか明るい声がどこからか聞こえてきた。
12:島に上陸したら懐かしい人に会いました
着替えて部屋から出れば既に疎らにしか船員の人たちは残っていなかった。
「よォ、寝ぼ助」
「・・・マルコさん。おはようございます」
「親父が呼んでたよい」
「親父さんが?」
「早く行ってやれ」
「・・・分かりました」
相変わらず無表情というか、眠そうな表情というか・・・。用件だけを伝えたマルコさんは仕事が残っていたのか甲板に居る船員達に指示を出しに戻って行った。私はもう一度船内に戻り、親父さんが居るであろう部屋に足を進めた。小さくノックをすれば中から親父さんが入れとだけ言ったので、少し重い扉を開けて中に入った。
「話って、なんです?」
「サラ、これで必要なもん買ってきなァ」
「こ、こんなに要りませんよ!」
「グララララ!それなら次の島まで取っとけば良いじゃねェか」
「う・・・」
「出航は3日後だからな」
「分かりました」
確かにいきなり船の上での生活で必要なものなど持ってなかったのは事実で、何とかやりくりしてたのはきっと親父さんも知ってるんだろう。実際にナースさんにお古の洋服とか借りたりしてたわけだし(胸の部分がすかすかしたのは言うまでもないが決して私が小さいわけではなく、ナースさんたちが大きすぎるのだ)。しかし日用品を買うにしてもこんなにたくさんのお金は必要ないと思う。かといって、親父さんが渡したお金をもう一度手にするはずもなく(だって頑固だし)。まあ余ったら次の島でまた何か買えばいいと、私も船を降りて島へ上陸した。
「久々の陸地・・・!」
揺れない足元に少しばかり感動して、何度かその場で足踏みをした後に島の内陸へ向かって歩き出した。流石に四皇の船ということもあってか港に堂々と停めるわけもいかずに、島の内陸からは見え難い森の後ろ側に。森の中をずんずんと進めば人の声が聞こえてきて、木々の間から覗けばこの島のメインストリートなのか、賑わっている道だった。通りを歩く人を見ればちらほらと白ひげの船員達の姿が見受けられた。
「まずは小さいものから買おうかな」
洋服は重くなるから後回し。雑貨屋らしき店を見つけ店内に入れば、思ってたよりもたくさんの商品が並べられていた。必要そうなものに目星をつけながら店内を回る事二周。カゴ一杯に様々なものが入っていた。会計を済ませ店を出て、次は洋服屋に行こうと思ったその時だ。
「サラ・・・?」
「?・・・え゙、」
後ろから名前を呼ばれ振り向けば、金色の目を大きく見開き呆然と立ち尽くす男と目が合った。