再海 | ナノ
今の時代、白ひげの名を知らぬ者は居ないだろう。世界最強と言われる、その強さ。戦いを挑むなんて無謀に近いことなのだ。
08:敵襲につき警戒態勢
普段通り雑用としてガロンさんとエレルさんと一緒に洗濯をしていた。二人は戦闘員らしいがまだ配属が決まってないらしく、雑用が主な仕事だとか。
「あ、苺柄だ」
「こっちは花柄だなァ」
「・・・クマ・・」
タライと洗濯板で何十枚もの洗濯物を洗う。洗濯物と一言で言っても、シャツからズボン、パンツまで全て私たちが手洗いしている。基本的にすぐ汚れるからときっちりと洗うことは少ないが。
中でも個性が出るのがこのパンツである。普段はズボンを着ているので見えないがなかなかインパクトの強いものをはいてる人が多い。白ひげ海賊団と世間では恐れられているが実際は苺パンツとか花柄のパンツとかクマがバックプリントしてあるパンツをはいている集団だ。まあ全員が個性的なパンツと言うわけでもないが。
もう少しで洗濯物が洗い終わるという頃に、大きな水音と共に船が揺れた。
「!なんだなんだァ?!」
「敵船かもな。サラは医務室でナースと隠れてろ」
「・・わかりました」
「行くぞエレル!」
バタバタと走り去っていくガロンさんとエレルさんを見届けてから、私も医務室へ向かった。洗濯室から医務室までの距離は近く、だけれど移動してる間にも砲撃が止む事はなかった。揺れる足場を早足で歩き医務室前まで来れば、急に医務室のドアが開いた。
「・・・」
「・・・」
「・・・ここでナース守ってな。怪我させるなよい」
「・・・了解です」
医務室の中から出てきたのはマルコさんで、私を見てあからさまに嫌な顔をした。いい加減私だって傷付くぞコラ。マルコさんが甲板に向かったのを見てから、私はドアを開けて中に入った。中にはナースさんたちが揃っていて奥の方で全員が固まっていた。
「!サラちゃん、あなたも早くこっちに!」
「そこに居たら危険よっ」
「あー、大丈夫デス。私お姉さま方のこと守るように言われたので」
「守るって・・・あなたも女の子じゃない!」
「そうよ。第一まだ子供のあなたに戦わせるわけにはいかないわ」
甲板の方が騒がしくなって、苦笑しながらお姉さま方を見ていたら突然ドアが開いた。もちろんドアの前に居た私は思いっきり後頭部を強打したわけだが。ナースのお姉さま方を見れば顔を青くして、私の後ろを指差していた。
「ヒッヒッヒッ、丁度いい人質みーっけ」
後ろを振り向けばいかにも教科書やらで出てくる海賊といった風貌の男が立っていた。手にはサーベルを握り、ニタニタと医務室へ入ってきた。