逃走少女 | ナノ
あれから、1年が経とうとしている。相変わらずおれはカリンを探してあちこち移動している。そしてつい先日、とある情報を手に入れて、ある島に向かっている。
産業が発達した国。そんな場所にストライカーを急いで向かわせるが、着いた頃には夕日がオレンジ色に光り、遠くの空はだんだんと暗くなってきていた。
「とりあえず、飯屋だな」
ぐぅー、と腹が鳴ったので飯屋を探しに街中へ。綺麗に並んだ町に夕日が差し込んで、まるであの日を思い出すような、そんな気がした。
人混みを避けながら歩き、ふと視線を上にしてみれば、屋根から屋根へ何か黒い影が飛び移っているのが目に見えた。そして、少し遠くから男達の声も。思わずにやけそうになるのを必死に耐え、屋根を飛び回る影に近づく。最初こそ遠くて違うかも、と思ったが、あれは絶対に・・・。
「カリンっ!」
そう名前を呼べば、屋根を飛び回っていた影はおれの方へ走ってきて、屋根から飛び下りた。
「久しぶりだな、カリン」
「久しぶりだね、火拳くん!」
「・・・なァ、名前呼んでくれねェの?」
カリンと会えた事は嬉しいが、未だに名前を呼んでもらえてないことが不満で。一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに目を細めてカリンは笑って、ゆっくりと言葉を紡いだ。
逃走少女、再来end.
2011.03/05