toi et moi | ナノ


遊園地で遊んでから早3日。あの日からどういうわけかシュリと会わない。まあ今までも会った事なかったから別段不思議と言うわけではないのだが、やや不満がある。

「なァ、マルコ」

「なんだよい」

後ろの席に座って眼鏡をかけながら本を読んでるマルコを呼んでみれば、本から顔を上げずに返事だけする。まあこれもいつもの事なので気にしない。

「今日さシュリの店行こうぜ」

「・・・急にどうしたんだよい」

「いや、別に・・・」

「暇だからねい、つきあってやるよい」

マルコは全て知っているとでも言いたげな顔をして、にやりと笑った。


放課後、マルコの学級委員長である為の雑用(教室の窓閉めたり、日誌書いたり)が終わるのを待ってから、シュリの家が経営している“toi et moi”に向かう。マルコもエースもチャリなのでそんなに時間は掛からず、あっという間に商店街の中へ入る。店の近くのチャリ置き場にチャリを置いてから二人で店へ。

「いらっしゃいませ!あら、マルコくんじゃない!」

「どうも」

「ごめんねぇ、シュリまだ帰ってきてないのよ。すぐ帰ると思うから」

「分かりました」

「あらっ、マルコくんのお友達?かっこいいわね!」

「・・・はぁ、どうも」

「お名前は?」

「エースです」

「エースくんね!ささ、シュリが帰ってくるまで座っててね!」

奥の方のカウンターに座らされて、待つこと5分。目の前の扉がゆっくり開いて、そこからシュリが現れた。シュリもエースもお互い見るなり驚いて目を丸くする。謎の沈黙が訪れる中、マルコが「コーヒー頼むよい」と言って漸(ようや)くシュリが動いた。

「えっと、エース先輩はなに飲みます?」

「・・・あァ、マルコと一緒で良い」

「了解です」

手早くコーヒーを淹れて二人の前に出せば、何も言わずにカップを手に取り口に運ぶ。ごくりと飲む音が聞こえたと思えば、更にごくごくと飲む音がする。

「これ、すっげェ美味い・・・!」

「本当ですか?ふふ、嬉しいです」

はにかむように笑ってエースを見るシュリ。お互い視線がぶつかり合って、パッと顔を逸らす。そんな二人のやり取りを隣で見ていたマルコは、くつくつと笑った。


直視無理です

 

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