toi et moi | ナノ
「明日シュリの店行っていいか?」
「うん、いいよー」
なんてニコニコ話してたのは昨日の放課後で、
「まだ店開いてないんだなっ」
今目の前でニコニコと話してるルフィくんに、現在の時刻を教えてあげたいくらいだ。午前7時前。そりゃ店も開いてないよ、ウチは基本的に9時開店なんだから。しかも私まだジャージ姿なんですけど。こんな格好ルフィくん以外の誰かに見られた瞬間には私はこの世界から消えてなくなりたいって思うだろう。まあそんな事はどうでもよくて、玄関で立ち話もなんだからって家の中のリビングに通す。
「少し待っててね」
「おう!」
急いで階段を駆け上がり自分の部屋に行く。タンスからごそごそと服を取り出して着替えて髪を梳かして。そりゃもういつもの倍の速さで済ませていく。1階からは両親がルフィくんに絡んでいるのか笑い声だけが響いている。支度が終わって階段を下りてリビングに行けば、ソファに寛ぎながら話す3人の姿が見える。
「ごめんね、ルフィくん」
「ししっ、お前の両親おもしれェな!」
「そう・・かな?」
ちらりと視線を動かせばにんまりと笑う両親が目に映った。あまりの不気味さに思わず視線をすぐに逸らしたけども。
「ね、今日くらいは遊んできなさいよ!」
「・・・はい?」
「そうだぞ、友達は大切にしないとな!ハッハッハ」
「でも店は?」
「シュリが居なくたって平気よ!さぁさ、早く行ってきなさい!」
「やっぱシュリの家族っておもしれェな!」
背中をぐいぐいと押されて私とルフィくんは呆気なく家から追い出された。ちょ、まだ朝の7時なんですけど。店なんかどこも開いてないんですけど!なんていう心の叫びは聞こえる筈もなく、隣に居るルフィくんはやったな!って超笑顔。
「でも、どこに行く?」
「んー・・・公園とかでいいだろ!」
言い終わる前に私の右手はルフィくんの左手によって自由が利かなくなっていて、ぐんぐんと手を引かれた。公園は商店街の外れの方に一つあって、そこが一番近い。ルフィくんの歩く速さは私が普段歩くのより速くて、小走りで着いていけばあっという間に公園に到着。流石に朝が早いのか人が少ない。
「久しぶりだなァ!」
「そうだねー、公園なんて大きくなったら行かなくなるもんね」
「よし、ブランコするぞ!どっちが遠くまで飛べるか競争なっ」
「えぇ!?」
一人駆けていくルフィくんの後を追いかけてブランコに乗れば、昔に戻ったような気がして。その日は一日中公園で遊んで、小学生の子供みたいにはしゃいだんだ。
遊びに来た人