toi et moi | ナノ


朝が苦手な私は、いつもいつも夢と現実の間を彷徨う。だって眠いし、仕方ないと思う。

「シュリー、マルコくんが来てくれたわよー」

母の一言で私は夢から現実に引き戻され、勢いよくベッドから飛び起き制服に着替え準備する事3分。朝ご飯は食べれなかったが、まあ誰かに何かもらおうという魂胆。それに何より、今はマルコが玄関まで迎えに来てくれている。マルコってば5分以上待たすと先に行ってしまうので急いで靴を履いて外に出る(しかもマルコはチャリで私は徒歩)。

「遅いお目覚めだねい」

「うっさい、朝ダメなの知ってる癖に・・!」

「甘やかさないでねとおばさんに言われたからな」

「むぅー」

「不細工な顔すんなよい」

「失礼だな!」

両頬を膨らませたら思いっきりマルコにつつかれた。むしろつつかれたなんて可愛い表現じゃなくて、ブスッて音がするような感じ。まあこんなやり取りも毎日続いてるようなもんで、私もすぐにチャリの後ろに座る。マルコは私がちゃんと座ったのを確認してから、ゆっくりとチャリを走らせた。商店街から学校まではそこそこ近い。徒歩通学もできる距離からチャリで行くもんだからそれはもう学校に着くのは早い。あっという間だ。

「ありがとー」

「今度から寝坊すんなよい」

「へへへ・・」

苦笑したらあからさまに溜め息をつかれ、マルコはチャリ小屋に行った。私も正門を通り、靴箱へ。商店街から学校が近いといっても、私が朝苦手なので結局は遅刻5分くらい前にしか学校に着かない。ぞろぞろと生徒が登校する中、珍しい人物を見つけた。

「ルフィくん!今日は早いんだね、おはよう」

「おー・・・シュリか、おはよう・・」

未だ眠いのか目をしょぼしょぼとさせていて、今にも倒れて寝だしそうな勢いだ。まあルフィくんはいつも遅刻してくるから朝早いのが苦手な私としても心情はよーく分かる。というわけでさっさと靴から上履きに履き替えて眠そうにしているルフィくんの腕を引いた。

「ルフィくん、教室に行くよ」

「・・・おー、」

若干引きずるような形になっているが、とりあえず教室に入ってしまえばシャンクス先生は遅刻にしない。しかし意外にルフィくんが重くて、これじゃ私まで遅刻してしまうかもしれない。だけど置いていくわけにもいかずにルフィくんの手を引いていれば、後ろから「おはよう、シュリちゃん」と声をかけられ振り返って見れば、朝から笑顔なサンジくんが立っていた。

「おはよう、サンジくん」

「急がないと遅刻しちゃうよ?って、コイツのせいか」

「あはは」

「おら、起きろルフィ!シュリちゃんの手ェ握ってんじゃねェよ!」

「んがっ!?」

後頭部を思いっきり叩かれて漸く目が覚めたらしいルフィくん。そして時計を見れば、鐘が鳴るまであと30秒。

「ちょ、遅刻ぅううう!?」

急いで廊下を走るも、時間は止まっちゃくれない。教室のドアを開けようとしたその瞬間、鐘が学校全体に鳴り響いた。

――ガラガラガラ

「はい、お前ら3人遅刻な」

「えー、何でだよシャンクスー!」

「先生を付けろ、先生を。ほらさっさと座れー、HR始めるぞ」

ガクリとドアの前で項垂れる私に、近くの席のナミが「災難だったわね」と微笑んだ。悪魔か・・・!なんてことは決して口にしてはいけない。口にした瞬間に私の人生はそこでジ・エンドになるから。相変わらずサンジくんはナミにラブコールを送っているが、ナミがスルーしているせいで何とも言えない。

「お前ら、早く座れ!」

バシッと少しだけ強くシャンクス先生に頭を叩かれて、私たちは大人しく席に着いた。


何気ない学校

 

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