smile | ナノ
この世界にトリップしてから、早3日。さすが白ひげと言うべきか、敵襲も特になく穏やかな航海。
私には小さいけれど一人部屋が与えられた。本当に白ひげさんには感謝しきれない。
だけれども、私の心の大半を埋めているのはあの人。そう、エースさんだ。
確かに漫画を読んでいた頃もエースさんは好きだった。だけど本当に出会って、あの笑顔を見て、私は本格的に惚れてしまった。
でも船のクルーとなった以上、そういう感情を抱いたらいけないんじゃないのかと不安になる。
だってエースさんは海賊だ。海賊は誰にも縛られる事なく、自由に生きてる。そんな彼の邪魔はしたくない。
「・・・はぁ」
本日何度目かの溜め息がこぼれた時、部屋のドアが鳴った。
_____________
_______
チサが仲間になってから3日。たった3日なのに、気が付けば目でチサを追ってる事に気がついた。
船に居る女と言えば親父のナース達以外居なかったからただ興味があったからだと思う。
だけど最近、どうも違うように思えて仕方がねェ。他の男と喋って笑ってたら気にいらねェしイラつく。
一体どうしたって言うんだよ。今までだって数え切れないほど女を抱いてきたが、こんな風に思う女なんて居なかった。
「チッ・・」
まだ部屋から出てこないチサを甲板で待ちながらボーっとしてた。
「なに怖ェ顔してるんだよい」
「・・・マルコか」
「チサに会いてェなら行けばいいじゃねェかよい」
「・・うるせェ」
ギロリとマルコを睨めば怖ェ怖ェなんて心にもないことを言ってニヤニヤと笑っていた。
少し離れたところにはサッチとジョズが何か話しているのが見えた。と言っても話の内容は聞こえないわけだが。
「エース、もう少し素直になったらどうだい?」
「何が言いてェんだよマルコ」
「さあ?でも、早くしないと誰かに取られるかもしれねェってことだけ覚えとけよい」
そう言い残してマルコはサッチたちのところへ歩いていった。
なんだよ、俺だってどうしていいかわかんねェんだよ・・。そしてまた、今日何度目かの溜め息をついた。
「溜め息つくと幸せ逃げちゃうんですよー?」
「!チサっ」
「おはようございます、エースさん!」
「あァ、おはよう」
いつの間に近くまで来たのか、くすりと笑いながら挨拶をしたチサ。さっきまでのモヤモヤが全て消えるような、そんな感覚。
チサの笑顔一つでこんなにも違うのかと心の中で笑った。
「ところでエースさん、何の用ですか?」
「・・・は?」
「え?何か用があるんじゃないんですか?」
頭にはてなをたくさん飛ばしながら何度もあれ、あれ、と繰り返すチサ。
その後「マルコさんの間違いかなぁ」なんて言うもんだから、マルコに何か言われたのかと聞けば。
「ついさっき部屋に来てエースさんが話しあるって伝えてくれたんですけど・・」
「あー・・別に急ぎの用ってわけじゃねェんだが・・・ちょっと話さねェか?」
「良いですよ!私もエースさんとお話したいです」
にこりと笑うチサが本当に可愛くて可愛くて、俺だけのものにしてェなんて考えた。
―――この気持ちが何なのか、未だ分からず。
NonStop Love
(だけど気持ちが止まるわけなくて、)(むしろ悪化する病のように)